きんぎんすなご

きんぎんすなご

『きんぎんすなご』は、わかつきめぐみ氏によって描かれた漫画作品です。1996年から1997年にかけて、『月刊少女フレンド』などの講談社の雑誌で連載されました。その後、KCデラックスや白泉社文庫から単行本が刊行されています。

概要

本作は、作者の代表作である「夏目家」シリーズの原点とも言える作品です。従来の作品では、主人公が既存の居場所を失い、そこから巣立っていく姿を描いていましたが、『きんぎんすなご』では、主人公がまだ存在しない居場所を探し、獲得していく過程に焦点が当てられています。この点が、作者の新たな試みとして注目されました。

作中に登場する夏目蒼一郎は、後の作品『夏目家の妙な人々』で主人公を務めます。この作品は、『きんぎんすなご』の事実上の続編として位置づけられ、夏目蒼一郎の高校生時代が描かれています。

あらすじ

主人公は、高校1年生の蓼子（りょうこ）。夏休み中、「やりたいことが見つからない」という焦燥感から、母親と衝突し、衝動的に家出をしてしまいます。蓼子は、かつて家庭教師をしてくれた今泉久義（いまいずみ・ひさよし）を頼り、彼が移り住んだ田舎へと向かいます。

そこで蓼子は、自然の中で生きる人々との出会いを通して、次第に自分の生き方を見つめ直していきます。それぞれが何かを犠牲にしながらも、自分の信じる道を選んで生きる人々の姿に触発され、蓼子は生きる目的を見いだしていくのです。

主な登場人物

蓼子（りょうこ）：主人公。高校1年生。自分の取り柄のなさに悩む。
今泉 久義（いまいずみ・ひさよし）：蓼子の近所に住む青年。一流企業を辞め、田舎で資料館開館準備の仕事をしている。
夏目 蒼一郎（なつめ・そういちろう）：今泉とともに資料館開館準備の仕事をする青年。奔放な性格で、蓼子や今泉に影響を与える。
百合子（ゆりこ）：農家の女性。民家や民具を保存する資料館の開館を目指している。今泉と夏目の雇い主。
萩乃（はぎの）：百合子の孫で、蓼子と同い年の帰国子女。古い民具に興味があり、将来は資料館で働くことを決めている。

各話タイトル

あまのがわ (1996年月刊少女フレンド7月号)
カノープス(1996年別冊フレンド12月号増刊ザ・フレンド冬号)
北極星(1997年別冊フレンド4月号増刊ザ・フレンド春号)
彗星(1997年別冊フレンド6月号増刊ザ・フレンド初夏号)
すばる(1997年別冊フレンド8月号増刊ザ・フレンド夏号)
番外編・夏目家の謎(1997年デザート10月号増刊ザ・フレンド秋号)
おまけまんが・マイフレンドの秘密(2005年白泉社文庫書き下ろし)

参考文献

* たこいきおし「お楽しみはこれからだッ!!第43回“悪魔のようなあいつ”」1998年。

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