くまちゃん (宇多田ヒカルのぬいぐるみ)

宇多田ヒカルと「くまちゃん」：愛されるテディベアの軌跡

「くまちゃん」は、シンガーソングライター宇多田ヒカルが所有するテディベアであり、彼女の分身とも言える存在です。ぬいぐるみとしてだけでなく、着ぐるみとしても登場し、楽曲やグッズにも展開されるなど、多岐にわたる活躍を見せています。

ぬいぐるみの「くまちゃん」

2006年1月、宇多田ヒカルは23歳の誕生日に大きなテディベアをプレゼントされ、「チャン・くま」と名付けました。自称中国出身で、お尻のタグに「made in china」と書かれていることが名前の由来です。以来、「くまちゃん」は宇多田ヒカルのブログに頻繁に登場し、旅行にも同行するなど、公私にわたるパートナーとなりました。

キャラクター設定

「くまちゃん」には詳細なキャラクター設定が存在します。中国出身でフランス語も話せる男の子で、ゲイであるという設定は、宇多田ヒカルが初めて会った時に教えてくれたそうです。一人称は「ぼく」で、宇多田ヒカルに嫉妬し、彼女の大切な物を奪って困らせるという一面もあります。

外見的特徴

「くまちゃん」の鼻はトリュフチョコレート、腕はエビフライ、耳はコロッケに似ているというユニークな外見も特徴です。宇多田ヒカルはブログで「食べちゃいたいくらいかわいい」と表現しており、この特徴は童謡『ぼくはくま』の歌詞にも反映されています。

『ぼくはくま』と「まくまくん」

2006年10月から11月にかけて、NHK『みんなのうた』で宇多田ヒカルが作詞・作曲・歌唱した童謡『ぼくはくま』が放送されました。この歌は、「くまちゃん」とたわむれる中で生まれた楽曲で、主人公のくまの男の子も「くまちゃん」という名前です。この歌から生まれたキャラクターは商品化され、Tシャツなどに使用されました。また、子供向けのオリジナルTシャツコンテストも開催されました。

『みんなのうた』では、楽曲に合わせてくまのぬいぐるみ劇のアニメーションが放送され、このアニメに登場するくまの男の子は「まくまくん」という名前でした。「まくまくん」は2007年に続編『まくまくんのかいがいりょこう』も制作され、ぬいぐるみや絵本としても商品化されました。

着ぐるみの「くまちゃん」

宇多田ヒカルは、プロモーションのためにくまの着ぐるみを着用することがあります。この着ぐるみも「くまちゃん」と呼ばれ、家の中での愛称は「ギガント」です。最初に着用したのは音楽ソフト制作会社を訪問する企画で、デザイン重視のため動きが制限され、着脱も困難であるというエピソードがあります。制作費は約100万円と高額で、宇多田ヒカルの自腹だったそうです。

楽曲『HEART STATION』のテレビCMでは、着ぐるみ姿で踊る姿が披露され、着信ムービーとして配信され、チャート1位を獲得しました。また、『Goodbye Happiness』のPVでは、着ぐるみの頭だけを着用しています。コンサート用のイメージ映像にも登場するなど、様々な形で活用されています。

「くまちゃん」の影響

宇多田ヒカルは、SNSでの挨拶にクマの絵文字を使用したり、絵本『ぼんじゅーる! くまちゃん』をCDの特典としてリリースしたり、「KUMA POWER」というブランドを立ち上げたりするなど、「くまちゃん」は彼女の活動に大きな影響を与えています。

InterFMのラジオ番組『KUMA POWER HOUR with Utada Hikaru』や、コラボカフェのメニュー「カプくーま」など、「くまちゃん」の名前を冠した企画も多数存在します。2020年リリースの「Time」のミュージックビデオでは、宇多田ヒカルが「くまちゃん」と抱擁するシーンが映し出され、25周年を記念したARサイトでは、描き下ろしの「くまちゃん」が登場するなど、その人気は衰えることを知りません。

「くまちゃん」は、宇多田ヒカルの音楽活動を彩る重要な要素であり、彼女の個性的な世界観を表現する上で欠かせない存在と言えるでしょう。

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