くろしお (列車)

特急くろしお：京阪神と南紀を結ぶ歴史と進化

特急「くろしお」は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が運行する特別急行列車です。京都駅・新大阪駅から、和歌山駅、海南駅、白浜駅、そして新宮駅へと、東海道本線、梅田貨物線、大阪環状線、阪和線、紀勢本線（きのくに線）を経由して運行されています。

沿革：半世紀を超える歴史

「くろしお」の歴史は古く、1965年3月1日、天[[王寺駅]]～名古屋駅間を結ぶ列車として運行を開始しました。当初は阪和線、紀勢本線、関西本線経由で紀伊半島沿岸を走っていました。1978年10月、紀勢本線の和歌山駅～新宮駅間が電化されると、新宮駅を境に系統が分離され、天[[王寺駅]]～白浜駅・新宮駅間の列車が「くろしお」、名古屋駅～新宮駅・紀伊勝浦駅間の列車が「南紀」となりました。

1989年には、グリーン車をパノラマ型先頭車に改造した「スーパーくろしお」が運行を開始。天[[王寺駅]]構内の阪和短絡線が完成し、「くろしお」「スーパーくろしお」は梅田貨物線を経由して新大阪駅・京都駅まで乗り入れるようになりました。1996年には「スーパーくろしお（オーシャンアロー）」、1997年には「オーシャンアロー」として運行された列車もありました。

2012年3月17日、それまで複数あった列車名が全て「くろしお」に統一されました。そして2023年3月18日、大阪駅（地下ホーム）が開業し、「くろしお」は初めて大阪駅に停車するようになりました。

名称の由来：黒潮にちなんだ列車名

「くろしお」の名称は、太平洋を流れる黒潮に由来します。そのため、黒潮沿岸であればどの地域でも使用できる列車名でした。実際、国鉄時代には四[[国]]と房総半島でも「くろしお」「黒潮」の名称が使用され、3地域で重複する事態も起こりました。その後、1965年10月、四[[国]]の「黒潮」が「南風」、房総の「くろしお」が「外房」にそれぞれ改称され、重複は解消されました。

運行概況：多彩な運行パターン

2024年3月現在、「くろしお」は京都駅～新宮駅間、新大阪駅～新宮駅間、新大阪駅～白浜駅間など、様々な区間で運行されています。本数も曜日や時間帯によって異なり、週末を中心に臨時列車も運転されています。新大阪駅～白浜駅間では概ね1時間に1本、白浜駅～新宮駅間では2～4時間に1本運転されています。一部の区間列車は、通勤需要に対応した停車駅設定となっています。

運行開始当初は天[[王寺駅]]発着でしたが、2004年10月以降は、定期列車はすべて新大阪・京都方面と直通運転しています。

停車駅：主要駅に加え、地域に密着した停車駅も

停車駅は、主要駅に加え、地域に密着した駅も停車します。かつては大阪駅を経由していませんでしたが、梅田貨物線の地下化に伴い、2023年3月より全列車が大阪駅に停車するようになりました。

使用車両：多様な車両の変遷

「くろしお」には、様々な車両が使用されてきました。初期はキハ80系気動車でしたが、紀勢本線電化後は381系電車に置き換えられました。その後、283系、287系、289系と、新型車両が順次導入され、現在もこれらの車両が使用されています。283系は振り子式、287系と289系は非振り子式です。基本編成は6両ですが、繁忙期には増結編成を連結して9両編成で運転されることもあります。

車内設備：快適な旅を演出

各車両には、快適な旅を演出する様々な設備が備わっています。283系には展望ラウンジが設けられています。車内チャイムは、かつては停車駅ごとのイメージに合わせたものが流れていましたが、現在は電子オルゴールの音色の鉄道唱歌が流れるなど、時代とともに変化しています。

臨時列車：様々なイベント列車

過去には、「ふれあい紀州路」「エキスポくろしお」「マリンくろしお」「おはようくろしお」「ホワイトビーチエクスプレス」「くろしお白浜花火号」など、様々な臨時列車が運行されました。これらの列車は、観光シーズンやイベントに合わせて運行され、地域の活性化に貢献しました。

利用状況：観光と通勤の両面

「くろしお」は、南紀への観光客輸送を担う一方で、近年は阪和線沿線の通勤・ビジネス利用客も増加しています。そのため、ラッシュ時間帯には自由席が混雑する傾向があります。一方、紀勢本線（きのくに線）内は、観光客の減少やマイカー・バスへの転移などにより利用客が減少傾向にあります。

大阪～南紀直通優等列車の系譜：歴史を彩る列車たち

「くろしお」以外にも、過去には「くまの」「紀州」「南紀」「しらはま」「紀ノ川」「はやたま」「スーパーくろしお」「オーシャンアロー」など、多くの優等列車が大阪と南紀を結んでいました。これらの列車は、それぞれの時代背景を反映した運行形態や車両編成で運行され、「くろしお」の現在の姿につながっています。 戦前の「黒潮号」から、これらの列車の歴史を辿ることで、「くろしお」の運行開始以前の状況も理解することができます。

結論：進化を続ける「くろしお」

「くろしお」は、半世紀以上にわたって、京阪神と南紀を繋いできた特急列車です。時代とともに車両や運行形態を変えながら、人々の移動を支え続けています。これからも、地域の活性化に貢献し続けることを期待しています。

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