けがき針

けがき針とは

けがき針は、金属加工において、材料に加工位置を示す線を引くために使用される工具です。主に鉄やアルミニウムなどの金属材料の表面を、先端で引っ掻いて傷をつけることで線を刻みます。この線が、切断、穴あけ、曲げなどの加工を行う際の目印となります。

概要

けがき針は、一般的に鋼で作られており、先端は針のように尖っています。ただし、何かを貫通させる目的ではないため、先端が鈍角な円錐形になっている場合もあります。先端部分は焼き入れ処理が施されており、耐久性が高められています。

一般的なけがき針は、片方の端がまっすぐな針状、もう片方がヘラ状の「ばちけがき」や、90度に曲がった「うらけがき」になっているものが多いです。中央部分には滑り止めのためのらせん状の加工が施されています。また、ペンシル型で持ちやすい形状のけがき針もあります。

使用方法

けがき針を使用する際には、鋼製の定規やスコヤをガイドとして使用します。定規を材料に固定し、けがき針を垂直から定規側に少し傾けて当て、先端が定規の角を削らないように注意して線を引きます。厚みのある定規を使用する場合は、へこんでいる側を下にして使用すると、より正確な線を引くことができます。

初心者は、けがき針の先端を定規の接地面に対して垂直に保持しようとしがちですが、これは定規がずれやすく、線が曲がる原因となります。また、針の先端が定規の下に滑り込んでしまい、まっすぐな線を引くことが難しくなります。

線を引く際には、何度も往復させると線がずれやすいため、力を入れずに一回でサッと引くことが重要です。線の深さは、けがき針の角度を調整することでコントロールできます。深く鋭い線を引くには、針の進行方向に対して垂直に立てて引き、浅く太い線を引くには、寝かせて引きます。ただし、鋭い線は針先が材料に食い込みやすいため、慣れていないとぶれやすいことに注意が必要です。

より正確な線を引くために

金属材料の表面に引かれたけがき線は、視認性が低い場合があります。そのため、あらかじめけがき専用の塗料や油性マジックインキの黒や青などで着色し、その上からけがくと、線がはっきりと見えやすくなります。また、線を引く前に、材料の表面をきれいに拭いておくことも、正確な線を引くために重要です。

まとめ

けがき針は、金属加工において不可欠な道具です。正しい使い方を理解し、練習を重ねることで、より正確で美しい加工が可能になります。安全に注意し、適切な工具を選んで作業を行いましょう。

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