こうま座

こうま座 (Equuleus)

こうま座は現代の88星座のひとつで、ラテン語で "Equuleus" と呼ばれています。馬をモチーフにしたこの星座は、プトレマイオスが記した48の星座の中にも含まれており、天の赤道の近くに位置しています。こうま座は、周囲のペガスス座、いるか座、みずがめ座に囲まれたエリアに存在していますが、全天88星座の中で面積が小さく、また暗い星が多いため、夜空で目立つことはあまりありません。

主な天体

こうま座の恒星には、いくつかの重要な星が存在します。特に3つの4等星を有し、その他は5等以下の暗い星々です。こうま座は銀河平面から離れた場所に位置しているため、星団や星雲といった他の天体が目立つことはほとんどありません。

恒星

2023年11月時点で、国際天文学連合（IAU）によって一つの恒星に固有名が認証されています。最も明るい星はα星で、太陽系から約190光年の距離にあり、見かけの明るさは3.933等です。この星はG6IV+B9.5V型の分光連星で、共通重心を98.8日で周回する2つの主星からなっています。また、α星には「キタルファ（Kitalpha）」という名が与えられています。

次に重要な恒星はβ星で、約321光年離れ、見かけの明るさは5.148等のA3V型の星です。γ星は115光年の距離にあり、4.68等という明るさを持つ化学特異星です。δ星は約61光年の距離にあり、4.49等で存在しています。最後に、M3e-M4e型のミラ型変光星R星もこの星座に含まれます。

流星群

こうま座には、こうま座β流星群（ベータ・エクエレイド）という流星群があります。この流星群は毎年7月9日頃に活動のピークを迎えることで知られており、IAUの流星データセンターによって確定されています。

由来と歴史

こうま座は古代ギリシャやローマ時代の天文学にも存在していましたが、その成立や由来については諸説があります。特にプトレマイオスの作品『アルマゲスト』においても、こうま座の記載に関する文献は乏しく、多くの点で不明瞭です。その後、16世紀の学者トーマス・フッドによっても、この星座についての伝承がほとんど知られていないことが指摘されています。

プトレマイオス以前にはこの星座が存在していたとされる記録もあり、紀元前3世紀の詩人アラートスや天文学者エラトステネースによる文献の中でも言及されていますが、具体的な詳細はわかりません。最終的に、プトレマイオスの記録を参照にして、1603年にヨハン・バイエルによって現行の星座名や星の配置が整理されました。

文化的背景

こうま座には神話や伝説に直接結びつく内容は少ないものの、一部の文献では天馬ペーガソスに関する俗説が紹介されています。リドパスは、こうま座がケンタウロスの子孫であるヒッペーに関連している可能性を示唆していますが、正確な伝承は確認されていません。

呼称と方言

こうま座は、世界中で共通して「Equuleus」と呼ばれますが、日本語では「こうま」として正式に定められています。中国においては「小马座」という名称が使われています。日本での星座名の記録は多様で、現在も「こうま」として認識されています。

こうま座に由来する事物

近年には、こうま座にちなんだ宇宙探査機「EQUULEUS」が、アルテミス1号の一部として打ち上げられました。この探査機の名称は、こうま座の学名および「EQUilibriUm Lunar-Earth point 6U Spacecraft」のアクロニムに由来しています。

こうま座は、その神秘的な魅力と歴史に満ちた存在感で、夜空観察の際には特別な星座として認識されています。

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