EQUULEUS

EQUULEUS: 地球・月系ラグランジュ点探査機

EQUULEUS（EQUilibriUm Lunar-Earth point 6U Spacecraft）は、東京大学中須賀・船瀬研究室（ISSL）と宇宙航空研究開発機構（JAXA）が共同で開発した短径小型衛星（CubeSat）です。この探査機は、月と地球の間に位置するラグランジュ点から、月面への衝突現象を観察することを目的としています。具体的には、地球・月系第2ラグランジュ点（EML2）を拠点に、高速カメラや紫外線望遠鏡を用いて、衝突の詳細を観測する役割を担っています。その名称は、こうま座の英名「Equuleus」に由来しています。

概要

EQUULEUSは、2022年11月16日にNASAのアルテミス1号に搭載され、宇宙へと送り出されました。打ち上げ後、探査機はEML2に向けて順調に飛行を続けていましたが、2023年5月18日に通信が途絶しました。この通信断絶後の5月23日から25日にかけて地球接近時に実施された望遠鏡による観測から、探査機が回転していることが確認されました。電源の枯渇が原因で無制御状態になった可能性が高いと考えられています。

EQUULEUSはまた、2019年5月に米国カリフォルニア州モンロビアにあるNASA/JPLの試験施設で、NASA深宇宙追跡網との適合性試験を受けました。この試験では、搭載されるXバンド通信機の通信性能が確認され、多くの期待を寄せられました。

設計と推進機

EQUULEUSの本体は6UサイズのCubeSat形式で、収納時のサイズは約10×20×30cmで、ブリーフケースほどの大きさです。これにより、宇宙での運搬や設置が容易になっています。推進システムには6基のAQUARIUS（AQUA R es I stojet p rop U lsion S ystem）が搭載されており、これから得られる推力は2～4 mN、比推力（Isp）は70秒以上と高効率です。推進剤としては1.5㎏の水を用い、通信機器の排熱を利用して水を気化させることで消費電力を削減しています。

観測機器

EQUULEUSには、紫外線望遠鏡（PHOENIX）、超高速カメラ（DELPHINUS）、さらに塵の粒径や分布を測定するためのダストセンサ（CLOTH）が搭載されています。これらの観測機器は、月面の研究や地球との関係をより深く理解するための重要なツールとして機能します。

脚注

EQUULEUSの開発と運用に関しては、関連する多くの研究プロジェクトが存在しています。特に、アルテミス1号に同乗する10機のCubeSatには、他にもArgoMoon、BioSentinel、CuSP、LunaH-Map、Lunar IceCube、LunIR、OMOTENASHI、Team Milesなどが含まれ、多様なミッションを展開する予定です。

EQUULEUSの成功は、未来の月探査において、小型衛星の重要性を示すものとなり、今後の宇宙探査の新たな可能性を切り開くことが期待されています。

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