この世界の片隅に (映画)

映画『この世界の片隅に』

『この世界の片隅に』（このせかいのかたすみに）は、日本の長編アニメーション映画で、2016年に公開されました。原作はこうの史代の同名漫画で、片渕須直が監督・脚本を担当しました。本作は戦時下に暮らす普通の女性の視点から、日常と戦争の影響を描いている点が特筆されます。

公開の経緯と興行成績

映画は2016年11月12日に日本で初公開され、当初は63館での上映でしたが、徐々に上映館が増え、2019年に累計484館に達しました。この映画は1133日連続でロングラン上映され、これは日本国内の映画館において中断のない連続上映としては過去最長とされています。また、観客動員数は210万人を超え、興行収入は27億円を突破しました。このような成功は、クラウドファンディングによって制作費を一部賄ったことにも起因しており、支援者数は3374人を記録しました。

ストーリー

物語は1944年に18歳のすずが広島から呉に嫁ぎ、戦時下の困難な生活を創意工夫で乗り越える姿を描いています。物資不足や空襲による悲劇など、日常生活での苦悩がリアルに表現されており、特にすずが戦争によって大切な人を失う場面は感動的です。それでも彼女は自分の居場所を見つけ、強く生き続けます。

技術的特徴と制作

本作は、細部にわたる描写と時代考証に基づいたリアリティが際立つ作品です。片渕監督は徹底的に取材を行い、絵コンテや作画においても生活感を重視しました。また、作品中で使用される音楽はコトリンゴが手掛けており、オープニングテーマや挿入歌は物語と深く結びついています。

受賞歴と評価

『この世界の片隅に』は、多くの映画賞を受賞しており、特に第90回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画第1位を獲得しました。また、日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞を受賞し、アヌシー国際アニメーション映画祭では長編部門の審査員賞も受賞しています。

影響と事後影響

映画の成功を受けて、2020年には長尺版『この世界の（さらにいくつもの）片隅に』が公開され、約40分の新規映像が追加されました。また、ドキュメンタリー映画『〈片隅〉たちと生きる 監督・片渕須直の仕事』も公開され、監督の制作過程を追った内容となっています。

まとめ

『この世界の片隅に』は、歴史的な背景を持ちながらも、個人の物語として感情に訴えかける強力な作品です。受賞歴や興行成績からもその影響力が伺え、今後も多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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