この愛に泳ぎ疲れても/Boy

ZARDの両A面シングル「この愛に泳ぎ疲れても/Boy」：隠された側面と人気楽曲の軌跡

ZARDの11枚目のシングル「この愛に泳ぎ疲れても/Boy」は、同グループにとって初の両A面シングルとしてリリースされました。しかし、当時、両A面シングルの2曲目が注目されることは少なく、チャートランキングには表題曲「この愛に泳ぎ疲れても」のみが表記されるという、独特な扱いを受けました。この両A面の扱いは、2005年発表の「星のかがやきよ／夏を待つセイル（帆）のように」まで再び見られることはありませんでした。

音楽性：ドラマと映画を彩る対照的な2曲

「この愛に泳ぎ疲れても」は、関西テレビ・フジテレビ系ドラマ『愛と疑惑のサスペンス』のオープニングテーマとして起用されました。ピアノのイントロから始まる楽曲は、1番のサビが終わると同時にテンポが上がり、キーも半音上昇するという、ドラマチックな展開を見せます。ヘ短調から嬰ヘ短調への変化は、楽曲に緊張感と高揚感を与えています。シングルジャケットにもドラマの場面写真が使用されています。

一方、「Boy」は、読売テレビ製作映画『夏の庭 The Friends』のエンディングテーマとして使用されました。栗林誠一郎の楽曲「Girl 今でも」をカバーしたもので、アレンジはオリジナルを踏襲しつつも、歌詞は全く異なるものとなっています。特に、ZARDのA面曲としては珍しく、サビにタイトルが含まれていない点が特徴的です。名義上はA面扱いでしたが、『OH MY LOVE』など初期のオリジナルアルバムには収録されず、『ZARD BLEND II 〜LEAF&SNOW〜』(2001年)で初めてアルバム収録を果たしました。

ビジュアル面：日本青年館での撮影と公開の変遷

シングルジャケットとミュージックビデオの撮影は、日本青年館で行われました。発売当初は、ミュージックビデオ撮影のメイキングシーンがプロモーションビデオとして使用されていましたが、坂井泉水さんの死後、フル歌唱映像が初めて公開されることとなりました。このメイキング映像から完成版への変化は、ファンの間で大きな話題となりました。

記録と人気：ZARDシングルにおける確固たる地位

「この愛に泳ぎ疲れても/Boy」は、ZARDのシングル売上枚数において、「負けないで」「揺れる想い」「マイ フレンド」に続く4番目のヒット曲となりました。ミリオンセラーには届きませんでしたが、ZARDの高い人気と楽曲のクオリティの高さを示す、重要な作品と言えるでしょう。

収録アルバムとカバー

このシングルに収録されている2曲は、その後数々のZARDのベストアルバムに収録され、その人気を改めて証明しています。代表的なアルバムとしては、『OH MY LOVE』、『ZARD BEST The Single Collection 〜軌跡〜』、『ZARD BLEND II 〜LEAF&SNOW〜』などが挙げられます。ライブバージョンも収録されているアルバムも存在します。また、楽曲提供者や編曲者などのクレジットも、楽曲の背景を深く理解する上で重要な情報となっています。

まとめ：両A面という試みと、時代を超える名曲

「この愛に泳ぎ疲れても/Boy」は、ZARDの音楽性と商業的な成功を両立させた、重要なシングルと言えるでしょう。両A面という当時としては珍しい試み、ドラマと映画という異なるメディアへのタイアップ、そしてミリオンセラーに次ぐ高いセールス記録など、このシングルはZARDの歴史において、特筆すべき作品として位置付けられています。その楽曲のクオリティ、そして坂井泉水さんの歌唱力の高さは、時代を超えて多くのファンを魅了し続けています。

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