さばさば

さばさばについての詳細

「さばさば」という言葉は、一般的に「爽快」や「さっぱり」という意味を持ち、何かを断ち切るようなすっきりした感じを表現します。その対義語は「ねちねち」であり、これは何かがだらだらと続く様子を示しています。

語源と歴史

「さばさば」の語源は、じつは古典文学に由来しており、『徒然草』にも見られる古語「さはさは」（爽々）が口語化したものと言われています。この言葉は江戸時代には既に使用されており、「さばさばとした布子」や「あんまりさばさばとした挨拶ゆゑ」のような表現が文書に残されています。

サバサバと文化

「さばさば」は単なる気持ちの表現にとどまらず、文化的な評価の対象ともなってきました。戦前、政治家の山本宣治はアメリカ人を「大陸的でサバサバしている」と評し、そうした性質が日本人に足りないものだと説いていました。このように、サバサバした性格は、時に評価されるべき特徴とされていました。

男っぽさとの関連

戦前には、男女の性格に対する認識も多様で、「さばさば」は男らしさとも結びついていました。佐多稲子の小説『素足の娘』では、「男のようなさばさばした中に、田舎娘のような愛らしさのある言い方」と述べられており、男らしさとさっぱりとした性格の関連が描かれています。また、婦人解放運動家の伊藤野枝は、ボーイッシュでサバサバした性格として知られていました。

戦後の変化

戦後の高度経済成長に伴い、女性の社会進出が進みました。1980年代には、働く女性が一般化し、男女雇用機会均等法の施行により女性の出世も促進されました。この頃には「おやじギャル」といったサバサバした女性像も登場し始めました。しかし、サバサバした女性が必ずしも評価されるわけではなく、同時に「男っぽいさ」へのネガティブな意見も存在していました。

自称サバサバ女

近年では、自身を「サバサバ女」と名乗る女性も話題となっていますが、実際にはネチネチした一面を持っているというコミカルな設定が人気を博しています。2011年に発表された「アラサーちゃん」や、2020年配信のWeb漫画「ワタシってサバサバしてるから」などがその代表例です。これらの作品は、サバサバさを自称しながら、実際には違った側面を持つキャラクターたちを描いています。

水商売とサバサバ

さらに、伝統的に水商売の女性たちは「サバサバしている」との評価を受けることが多く、労働運動の一環としてもその特徴が表れています。例えば、大正時代の小説『太陽のない街』では、同部部長が貞操観念を持ちながらも、水商売の実態を支持する意見が展開されていました。このように、歴史的にもサバサバは女性の生き方として語られることが多いのです。

終わりに

「さばさば」は、時代背景や文化的文脈に沿って意味を変化させながら、多様な解釈を生んできました。そのため、現代においてはその文脈を理解し、使いこなすことが求められます。

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