さらば掟

映画『さらば掟』の紹介

『さらば掟』（さらばおきて）は、1971年9月15日に松竹が配給したヤクザ映画で、舛田利雄監督が手がけた作品です。この映画は、主演の渡哲也にとって松竹製作の作品では初めての出演となり、その新しい挑戦が注目を集めました。

映画の背景

松竹の製作本部長は、同社の映画作品がコメディ要素を持つものが過半数を占める一方、歌謡映画や青春映画、文芸映画などが続いており、アクション映画は非常に少ない状況にあったことを指摘していました。そこで、渡哲也と舛田監督の参加を通じて、アクション映画という新しいジャンルが開拓されることを期待していたのです。

渡はこの映画の制作を通じて、石原プロのスタッフの仕事振りに強い感銘を受け、加入を決意します。さらに、渡はこの作品で得た報酬を全額封筒に詰め、当時金策に困っていた石原裕次郎に贈ることを考えたと言われています。これにより、映画制作の裏側にある人間関係や思いを知ることができる青春の記録ともいえるでしょう。

ストーリーの概要

物語は、武井吾郎というキャラクターを中心に展開します。彼はやくざの世界から手を引くことを決意し、組を抜けることを試みますが、その決意を受け入れない組は、彼を執拗に追い詰めます。逃れられない宿命に翻弄される武井の姿を描くことで、友情や裏切り、運命の厳しさというテーマが浮かび上がります。

主なキャスト

• - 渡哲也（武井吾郎）
• - 范文雀（宮本杏子）
• - 岩下志麻（里香）
• - 藤木孝（中沢行彦）
• - 深江章喜（大和田）
• - 柳瀬志郎（倉田）
• - 苅谷俊介（ニック）
• - 野々あさみ（美紀）
• - 長浜鉄平（マモル）
• - 他、多くの俳優が出演しています。

スタッフ

この映画は舛田利雄監督が原案、脚本を鴨井達比古が担当し、撮影は金宇満司が行いました。音楽は伊部晴美が手がけ、製作には浅井秀剛と樋口清が関わっています。また、助監督として村川透、編集は井上親弥が担当しており、製作のあらゆる側面が精緻に組み立てられています。

併映作品

『さらば掟』の公開時には、井上梅次監督の『人間標的』が併映されており、当時の日本映画界における多様なジャンルの作品群を象徴する一幕となりました。

『さらば掟』は、当時の映画シーンに新しい風を吹き込み、今なお多くのファンに支持され続ける名作として評価されています。

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