さんふらわあ つくば

さんふらわあ つくば：進化と変遷を遂げたフェリー

「さんふらわあ つくば」は、かつてブルーハイウェイライン、そして商船三井フェリーによって運航されていたフェリーです。1998年、初代「さんふらわあ さっぽろ」の後継として、大洗港と苫小牧港を結ぶ航路に就航しました。茨城県民からの公募によって名付けられたこの船は、就航と同時に既存の「さんふらわあ おおあらい」を大阪～志布志航路へと転属させる役割も担いました。

当時、大洗～苫小牧航路は貨物需要の飽和と旅客需要の減少という課題を抱えていました。そこで「さんふらわあ つくば」は、先行する「さんふらわあ みと」の設計を基に、実情に即した改良が加えられています。全長は192メートルに延長され、船幅も拡大されました。車両甲板は7レーンから8レーンへと拡張されたことで、車両搭載能力は大幅に向上しました。機関出力の向上と船体長の延長による抵抗減少効果によって、定時運航率の向上も実現しています。

旅客設備については、需要の変化を考慮して従来船よりも定員数を減らす設計とされましたが、1等A客室などの上位クラスの設備は「さんふらわあ みと」と共通の仕様となっています。また、前船では廃止されていたラウンジが、船首部に復活したことも特徴の一つです。

2001年には、大洗～苫小牧航路の運営が商船三井フェリーに継承されたことに伴い、同社に移管されました。主に夜行便として活躍し、2005年にはレストランの営業形態が変更されました。従来のレストランサービスに加え、乗船時に案内所で注文を受け付ける3食セットメニューの提供、その他の飲食は自動販売機のみという形に変更されました。レストラン自体は「イートインフロア」と名称変更されました。

2006年12月28日をもって、商船三井フェリーでの運航を終了しました。「さんふらわあ みと」と共に東日本フェリーへ移籍する計画もありましたが、これは頓挫し、その後、ギリシャの海運業者に約50億円で売却されました。

売却後、2008年より大規模な改装工事が行われ、ギリシャのANEKラインズにて「エリロス号（Έλυρος）」として新たな航路に就航しています。ピレウスとハニアを結ぶ航路などで活躍し、その船歴は日本のみならず地中海にまで広がっています。

船内設備：フィンランドデザインと快適性

ブルーハイウェイライン、商船三井フェリー時代の「さんふらわあ つくば」の船内は、フィンランド建築をベースにしたインテリアデザインが特徴でした。スカイブルーを基調としたカラーリングと木材の質感が調和し、落ち着いた雰囲気を演出していました。設備はAデッキにレストランを配置した以外はBデッキに集中しており、乗客の移動の利便性を高める設計となっていました。

Aデッキには、レストスペース（2005年以降は大型トラックドライバー食堂）、レストラン（後にイートインフロア）、サービスコーナー、風防付きデッキがありました。Bデッキには、特等室、1等A客室、2等寝台、2等和室（後に2等寝台に改装）、ドライバーズルーム、エントランスホール、案内所、ゲームコーナー、ペット室、展望浴場、そしてラウンジが備えられていました。2等寝台は通路の片側にのみベッドを配置することで、相部屋の感覚を軽減する工夫が凝らされていました。

「さんふらわあ つくば」は、時代の変化に合わせて姿を変えながらも、長きに渡り人々と貨物を運搬し続けました。その歴史は、海運史における重要な一ページとして刻まれています。

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