さんふらわあ みと

さんふらわあ みと：進化と航海の軌跡

1993年、増大する貨物需要と上質な旅客サービスへの対応という二つの課題を解決すべく、「さんふらわあ みと」は誕生しました。ブルーハイウェイライン、そしてその後継である商船三井フェリーの主力として、大洗港と苫小牧港を繋ぐ航路に就航しました。先行船である「さんふらわあ おおあらい」をベースとしながらも、全長を8メートル延長し、貨物車両の搭載数を増加。これは当時、急増していた物流需要に対応するための重要な設計変更でした。

さらに、「さんふらわあ さつま(2代目)」や「さんふらわあ きりしま(初代)」と共通の船体設計を採用することで、建造コストの削減と効率的な運用を実現しました。この設計変更により、ファンネルの位置はサイドからセンターへ移り、船首の車両積込方式もバウバイザー方式からサイドランプ方式に変更されました。この変更は、陸上施設への依存度を低減し、より柔軟な配船計画を可能にしました。臨時運航への対応力も向上したと言えるでしょう。

旅客サービスについても、時代のニーズを反映した進化が見られます。従来の2等客室を廃止し、1等A客室を大幅に増室。各室にシャワールームを設置するなど、上質な空間を提供することに注力しました。レストラン、ラウンジ、スナックコーナーなども拡充され、乗客は快適な船旅を楽しむことができたのです。まさに、クルーズフェリーとしての要素を強く打ち出した船と言えるでしょう。

2001年には、商船三井フェリーへの事業譲渡に伴い同社へ移籍しました。主に夜行便として活躍し、同航路における重要な役割を担いました。しかし、2005年にはレストランの営業形態を変更。乗船前に注文する3食セットメニューのみとなり、それ以外の食事は自動販売機による提供となりました。これは、時代の変化による需要の減少やコスト削減の観点から行われた措置と考えられます。

2006年12月28日、「さんふらわあ みと」は商船三井フェリーから引退しました。同時期に引退した「さんふらわあ つくば」と共に、東日本フェリーの「ニューれいんぼうらぶ」「ニューれいんぼうべる」と交換され、新笠戸ドックで改装工事が予定されていました。室蘭～直江津～博多航路への就航が計画されていましたが、2007年に計画は断念され、その後、海外へと売却されました。

2007年から2009年にかけては、韓国のパンスターラインで「パンスター・サニー」として大阪～釜山航路に就航。その後、中国の中国遠洋運輸集団に買収され「中遠之星」(COSCO STAR)として中国本土と台湾間の航路で活躍しました。2010年には、中国遠洋運輸集団傘下の厦門閩台輪渡に移管され、中国近海を舞台にその長い航海の歴史を続けました。

船内は、「北海道風」「北を旅する」をテーマにデザインされました。北海道の自然をイメージした紫、青、黄、緑、白を基調としたカラーリングは、乗客に心地よい空間を提供しました。山小屋風のレストランやラウンジは、従来のフェリーとは異なる、上質な空間を演出しました。

プロムナードデッキのラウンジ「ラベンダー」は、北海道のラベンダー畑とデンマークの遊園地「チボリガーデン」をイメージしたデザイン。レストラン「ハスカップ」は北欧の港町をイメージし、落ち着いた雰囲気を醸し出していました。船内のいたるところに、細部まで行き届いた工夫が凝らされていたことがわかります。

「さんふらわあ みと」は、時代の変化に柔軟に対応し、技術革新を取り入れながら、長きに渡り人々と貨物を運搬し続けました。その歴史は、日本のフェリーの歴史、そして国際的な海運の変遷を語る上で、重要な一ページを飾るものです。

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