サウ

サウ（thou）について

サウ（thou）とは、ヤード・ポンド法において、長さの単位として使われるもので、特に微細な対象の計測に適しています。1サウは1/1000インチに相当し、別名としてミル（mil）やミリインチ（milli-inch）とも呼ばれます。国際インチとの換算では、1サウは25.4マイクロメートルに相当します。この単位は、非常に精密な計測を必要とする分野で重要な役割を果たしています。

サウの概念は1844年にジョセフ・ホイットワースによって導入されたとされ、精密工作技術の発展に寄与しました。この単位は主に、紙やフィルム、箔、塗料の厚み、あるいは針金や繊維の太さを表すために使用されます。サウは英語の「サウザンス（thousandth）」の短縮形であり、数の単位として使われることがあるため、単複同形となっています。

また、サウと同じ綴りの「thou」は、古い英語において「汝（なんじ）」を意味する二人称単数主格代名詞としても使われていました。こうした異なる意味合いを持つ単語が同じ形で存在すると、文脈に応じて適切に解釈する必要があります。

一方、ミルはラテン語の「ミッレ（mille）」の短縮形であり、こちらも1/1000を表します。ミルは高精度な測定以外にも、1/1000ラジアン（角度）、1/1000メートル（ミリメートル）、1/1000リットル（ミリリットル）、および1/1000ドル（ミル）など、多様な単位で使用されることが特徴です。

サウは主にアメリカで使用され、ミルはイギリスで使われることが一般的です。ただし、近年イギリスではメートル法へのシフトが進んでおり、サウが特にアメリカでの使用が増加しています。アメリカでは、ミルが伝統的に使用されてきましたが、メートル法の普及に伴い、ミリメートルとの混同を避けるためにサウに切り替える動きが見られます。しかしながら、プラスチック製のIDカードの厚さ（一般的に30ミル＝0.76ミリメートル）やビニール袋などの測定において、未だにミルという単位が頻繁に使われています。

さらに、軍事分野では照準測距儀に関連する角度の単位ミル（ミリラジアンに由来）も存在し、NATOや自衛隊などで採用されています。この単位は、サウとは異なる意味を持ちながらも同じ名称が使われているため、注意が必要です。薄いシート状のものの厚みを表す場合には、1サウ（1ミル）の1/100を表すゲージ（gauge）という単位も用いられます。これらの単位間の関係は、次のようになります。

1 thou (mil) = 1/1000 inch = 25.4/1000 mm = 25.4 μm = 100 gauge

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