しおかぜ (列車)

特急「しおかぜ」：瀬戸内海の潮風を運ぶ四国特急

特急「しおかぜ」は、四国旅客鉄道（JR四国）と西日本旅客鉄道（JR西日本）が共同で運行する、岡山駅と愛媛県の松山駅・伊予西条駅を結ぶ特急列車です。山陽新幹線との接続を図り、岡山から香川県西部、そして愛媛県各地へのアクセスを支えるJR四国の主力列車となっています。

誕生から現在まで

「しおかぜ」は、1972年3月15日、それまでの急行列車「いよ」を格上げする形で誕生しました。「南風」とともに四国初の特急列車として運行を開始し、1986年には「エル特急」に指定されました。1988年の瀬戸大橋線開通を機に岡山駅発着となり、高松駅発着の列車は「いしづち」として分かれ、現在に至ります。列車名は、瀬戸内海の潮風をイメージしたもので、かつて山陽本線で運行されていた特急列車にも同名の列車が存在しました。現在でもJR四国の社内広報誌のタイトルにも使用されています。

運行状況と停車駅

2024年3月16日現在、「しおかぜ」は岡山～松山間を14往復、「岡山～伊予西条間を1往復運行しています。予讃線の多くが単線であることから、松山方面の列車の多くは高松駅発着の「いしづち」と併結運転されています。多客期には、宇多津駅または多度津駅での連結・切り離し作業を省略し、全列車が岡山～松山間を直通運転されるケースもあります。また、団体利用時や、瀬戸大橋の強風による運転見合わせなど、臨時の運行形態をとる場合もあります。

停車駅は岡山、児島、宇多津、丸亀、多度津、観音寺、川之江、伊予三島、新居浜、伊予西条、壬生川、今治、松山など、主要駅に停車します。一部列車は、詫間、高瀬、伊予北条にも停車します。また、修学旅行シーズンには豊浜駅に臨時停車する場合もあります。

使用車両と編成

「しおかぜ」は、松山運転所所属の8000系電車と8600系電車で運行されています。いずれも電車であり、瀬戸大橋線では車体傾斜機構は使用しません。8000系はグリーン車を含む5両編成が中心で、「いしづち」と併結する際は8両編成となります。8600系はグリーン車を含む5両編成で、「いしづち」と併結する際は7両編成となります。運用上、「いしづち」編成が岡山・高松側に、「しおかぜ」編成が松山側に連結されるため、松山行きでは「しおかぜ」が先に宇多津・多度津駅に到着する仕組みになっています。

過去の車両としては、2000系気動車、キハ185系、キハ181系などが使用されていました。

利用状況と今後の展望

JR四国は、新幹線との接続改善、企画乗車券の発売、パークアンドライドサービスの推進、テレビCMの放送など、積極的に利用促進策を展開しています。また、岡山駅橋上駅舎の完成や宇野線の一部複線化など、施設面での改良も進められています。

フリーゲージトレイン（FGT）による新大阪駅直通運行も検討されていますが、沿線自治体の財政状況や積極性の問題から、実現には課題が残されています。JR四国は、長期的な展望として瀬戸大橋線でのFGTによる新幹線直通を期待しており、予讃線の電化延伸や短絡線の建設なども合わせて検討しています。

沿革

「しおかぜ」は、1972年の山陽新幹線開業に伴うダイヤ改正で運行開始されました。その後、瀬戸大橋線の開通、車両更新、運行形態の変更など、幾多の変遷を経て、現在に至っています。特に、2016年には全車両が電車化され、松山駅で完全に系統分離されるなど、大きな変化がありました。

「しおかぜ」は、四国の玄関口として、これからも瀬戸内海の潮風とともに、多くの人々を運び続けるでしょう。

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