しがらみ草紙

しがらみ草紙

『しがらみ草紙』は、森鷗外が主宰した月刊の文芸雑誌です。1889年10月に創刊され、1894年8月に終刊しました。新声社およびしがらみ社から発行され、全59冊が刊行されました。

概要

雑誌名の『しがらみ草紙』は、「文壇の流れにしがらみをかける」という意味合いが込められています。創刊のきっかけは、1889年8月に新声社から出版された共訳詩集『於母影』の稿料収入でした。

鷗外自身も『しがらみ草紙』に小説「うたかたの記」を発表し、その他にも「即興詩人」など西洋文学の翻訳を掲載しました。また、1891年9月から1892年6月にかけて、坪内逍遥と鷗外の間で繰り広げられた文学論争「没理想論争」の主舞台となったことでも知られています。この論争は、当時の文学界に大きな波紋を呼びました。

『しがらみ草紙』は、森鷗外が日清戦争に従軍するために1894年8月に日本を離れたことに伴い、惜しまれつつも終刊となりました。

主な執筆者

『しがらみ草紙』には、錚々たる顔ぶれの作家や評論家が執筆しました。

尾崎紅葉
落合直文
幸田露伴
与謝野鉄幹
斎藤緑雨
内田魯庵
森田思軒


これらの執筆者たちは、『しがらみ草紙』を通じて、それぞれの文学観や評論を発表し、当時の文壇を盛り上げました。

『しがらみ草紙』は、短い期間での刊行でしたが、明治期の文学に大きな足跡を残しました。森鷗外の文学活動を語る上でも、重要な雑誌であると言えるでしょう。

外部リンク

『しがらみ草紙』 - コトバンク

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