しょうなん (海洋観測艦)

海洋観測艦「しょうなん」

海上自衛隊が運用する海洋観測艦「しょうなん」（ローマ字：JS Syonan, AGS-5106）は、湘南地域を名前の由来とした艦船です。建造には約188億円が投じられ、日本の海洋観測を担う重要な役割を果たしています。

設計と構造

「しょうなん」は、以前の観測艦「ふたみ」（51AGS）の後継艦として、2000年代末に建造が計画されました。先行艦「にちなん」を基にした改型設計が施されており、船体は商船に準じた構造となっています。特に、建造コストの削減が重視され、艦の構造や装備が大幅に見直されています。

外観的な特徴として、艦首のバウ・シーブが廃止され、これにより艦の構造が簡略化されました。結果として、艦橋の高さ要件が緩和され、上部構造物は先代艦よりも1層低くなっています。また、艦尾デッキは観測用に設計され、各種クレーン装置も装備されています。

「しょうなん」の推進装置は、ディーゼル・エレクトリック方式とされており、360度旋回可能なポッド式アジマススラスターが採用されています。これは、自衛隊の艦船としては初めての技術で、優れた操縦性と艦位保持能力を持っています。

装備と機能

「しょうなん」は、海洋観測用の多様な装備を搭載しています。例えば、表層水温や塩分を測定する装置や、海底の流向・流速を測定する機器が備えられています。また、海中音響観測用の音響環境測定システムや曳航式音源装置も搭載し、広範囲な海洋調査が可能です。

さらに、艦にはマルチビーム式測深儀や採泥器などが装備されており、これにより海洋の深さや底質の情報を収集することができます。観測データの処理・分析を行うために、艦内部には複数の観測室が設けられています。その中にはウエット・ラボラトリーがあり、海中からのサンプルの扱いに特化した施設もあります。

登載艇と艦歴

「しょうなん」は、船楼甲板上にダビットを設置しており、左舷には11メートルの作業艇、右舷には複合型作業艇が搭載されています。

この艦は、平成19年度計画の一環として三井造船玉野事業所で建造され、2008年に起工されました。2009年6月には命名進水式が行われ、2010年の3月に正式に就役しました。横須賀を定係港とし、海洋業務群の直轄艦として活躍しています。2015年には、海洋業務・対潜支援群の一部に編入されました。

活躍の記録

「しょうなん」は、海上自衛隊として重要な任務を果たしており、特に2016年4月には中国海軍の艦船を監視しました。こうした活動は、日本の海洋安全保障にとって重要な意義を持っています。

登場作品

同艦は、漫画「空母いぶき GREAT GAME」にも登場しており、国際情勢を反映したストーリーにおいて役割を果たしています。

まとめ

「しょうなん」は、海上自衛隊の海洋観測艦の中で技術的に最前線を行く艦であり、海洋科学の発展と防衛力強化に寄与する重要な存在です。

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