しらせ (砕氷艦・初代)

しらせ（JMSDF AGB SHIRASE）

しらせ（JMSDF AGB SHIRASE）は、元々文部科学省により建造された三代目南極観測船で、現在は気象観測船として使われています。艦番号はAGB-5002で、長年にわたり南極地域の観測任務を担いました。この艦は自衛艦の中で初めて基準排水量1万トンを超え、昭和時代に建造された自衛艦の中でも最大の規模を誇ります。しらせの後には、第二代目の砕氷艦として再びしらせの名を受け継いだ艦が建造されています。

概要

この砕氷艦は、3ノットの速度で1.5メートルの厚さの氷を連続して砕く能力を持っており、全乗員は海上自衛官で構成されています。船の所有者は国立極地研究所で、横須賀地方隊に所属していました。運用は防衛省が責任を持っています。

しらせの主な役割は、観測隊員や物資の輸送ですが、南極での観測活動も行っていました。このため、観測機器も搭載されていました。毎年11月中旬に東京港晴海埠頭を出港し、フリーマントル港での休憩を挟んだ後、12月末には昭和基地に到達しました。1983年（昭和58年）以降、第49次隊に至るまで、しらせは計25回の南極観測輸送を行い、その間に3,803日の行動日数と総航程1,006,562キロメートルを記録しています。氷に突進するための特殊な操作を265回行い、36,650回のChargingに成功しました。

構造

しらせは、特徴的な幅広の艦体を持ち、一本の煙突が立っています。氷海での監視用の見張りポストや、貨物積み下ろし用のクレーンを艦の前後に2基ずつ装備しています。機体の後部にはヘリコプター甲板と格納庫があり、観測任務に用いるため数機のヘリコプターを運用していました。ロールを抑えるためのビルジキールは装備されていないため、外洋航行時には激しい揺れを伴うことがあり、乗員や観測隊員にとっては船酔いの要因となることもありました。特に2001年の航海では、傾斜計が53度や41度の傾きを記録しました。

艦名の由来

艦名は公募によって決定され、62000以上の応募から「しらせ」が選ばれました。「しらせ」の名は、南極探検で功績のあった白瀬矗中尉の名にちなみつつ、白瀬中尉の業績を称えるために付けられた広大な氷河「白瀬氷河」が艦名の由来となっています。

記念切手

1983年には、しらせの就航を記念した切手も発行され、ペンギンと観測船を題材にしたデザインが用いられました。この切手は今も高価で取引されています。また、他国と共同で発行された「極地保護」の切手も施行されました。

後継艦と除籍後

しらせの後継艦は2006年から建造が始まり、2008年に新たなしらせが就航しました。退役後は解体の運命にありましたが、民間企業ウェザーニューズが買い取ることで「SHIRASE」として新たに活用されることになりました。船内の観測設備を活用し、気象情報発信基地としての機能を持つこととなりました。2010年には一般公開を開始し、気象や環境問題に取り組む場として活用されています。

見学とアクセス

SHIRASEの見学は予約制で行われており、訪問者は特定のコースに申し込む必要があります。見学場所には駐車場も準備されていますが、一般の立ち入りは禁止されています。見学の際には、ウェザーニューズを知ってもらうための特別なプログラムも用意されています。2011年からは地震の影響で一時中止されましたが、その後再開され、現在も多くの人々が訪問を希望しています。見学者にとって、環境問題への理解が深まる貴重な体験が期待できるでしょう。

しらせは日本の南極観測の重要な役割を果たし続けており、その活動と影響力は今後も評価されていくことでしょう。

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