しろうと寄席 (フジテレビ)

しろうと寄席

1966年4月17日から1968年3月26日まで、フジテレビ系列で放送された演芸番組です。正式な番組名は『しろうと寄席』として知られています。

概要

この番組は、一般から募った参加者が、落語、漫才、漫談、浪曲、講談、声帯模写、奇術といった様々な寄席芸を披露し、プロの演芸家としての「真打」認定を目指すという、ユニークな視聴者参加型のコンテスト形式を採用していました。アマチュアながらも本格的な芸を競い合う場として、多くの演芸愛好家にとって夢への登竜門となりました。

後に各界で著名となる多くの才能が、この番組から羽ばたいていきました。たとえば、俳優やタレントとして幅広い分野で活躍する片岡鶴太郎氏、現代落語界を牽引する春風亭小朝氏、そして日本におけるマジックブームを巻き起こしたMr.マリック氏などが、この番組に出演し、プロへの足がかりを掴んでいます。番組は、こうした未来のスターたちの初期キャリアを支える重要な役割を果たしました。また、後のフジテレビで数々の人気番組を生み出すことになる横澤彪氏が、若き日にアシスタントディレクターとして番組制作に携わっていました。

およそ2年間の放送を経て、番組は1968年3月26日をもって終了しました。これは、フジテレビが初めて昼の時間帯に設ける本格的なワイドショー『お昼のゴールデンショー』のために、放送枠を確保する必要が生じたためです。最終回の放送では、これまでに真打となった挑戦者たちによる「名人大会」が開催され、番組の歴史に幕を下ろしました。

放送時間

番組の放送時間は、途中で一度変更されています。

番組開始時: 1966年4月17日から1967年3月26日まで、毎週日曜日の19時30分から20時00分までの30分間。
時間帯移動後: 1967年4月4日から1968年3月26日まで、毎週火曜日の12時15分から12時45分までの30分間。

主な出演者

司会: 晴乃チック・タック（当時人気を博した漫才コンビが務めました）
審査員: 8代目桂文楽、初代相模太郎、5代目一龍斎貞丈、アダチ龍光、小菅一夫（演芸界の重鎮や専門家らが審査にあたりました）

挑戦者のシステム

この番組の大きな特徴は、参加者が段階を経てプロの地位を目指す昇進システムにありました。参加者はすべて一般からのアマチュアであり、披露できる芸は寄席芸に限定されていました。

1. 見習: まず最初の関門として、「見習」の認定試験に挑戦します。これに合格すると、賞金として2,000円を獲得できました。
2. 前座: 見習認定を受けた者は、「前座」への昇格試験に挑みます。前座合格者には、賞金5,000円が贈られました。
3. 真打: そして最終段階となるのが「真打」の認定試験です。この試験に合格することは、プロの演芸家として認められた証であり、賞金1万円に加え、審査員から正式な芸名が授与されました。

さらに番組では、約2か月に一度のペースで、真打となった者たちによる「真打大会」が開催されました。この大会で優勝した者は、真打の上に位置する「名人」の称号を得ることができました。記念すべき第1回真打大会は1966年7月3日に放送され、6組の真打が競い合った結果、当時20歳の奇術の若手コンビが見事初代名人の栄冠に輝いています。

提供スポンサー

番組の提供スポンサーも、放送時間帯の変更に合わせて変化が見られました。

日曜19:30枠時代: 主にトクホン本舗（現在のトクホン）による一社提供でした。
火曜12:15枠時代: ミツワ石鹸とノーシン（現在のアラクス）による二社提供となりました。

その他

既に触れた通り、片岡鶴太郎氏は本番組の出身として知られています。
なお、本番組と同じ『しろうと寄席』というタイトルの番組が、これより少し前の昭和30年代前半に、ラジオ東京（現在のTBSラジオ）でも放送されていました。後に人間国宝となった落語家の柳家小三治氏も、このラジオ版『しろうと寄席』から才能を認められた一人です。

これらの内容は、当時の産経新聞や毎日新聞縮刷版などの資料に基づいています。

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