すずかぜ型巡視艇

すずかぜ型巡視艇について

すずかぜ型巡視艇（すずかぜがたじゅんしてい）は、海上保安庁が運用する大型の巡視艇であり、船級はCL（Craft Large）型、標準船型は20メートル型です。この型は、ネームシップである「CL-11」が配属替えで改名され、「ひめぎく型」とも呼ばれています。この巡視艇は、主に警備、救難および巡視業務を行うことを目的として設計されています。

歴史的背景

海上保安庁が設立された際、当初の船舶は戦時中に急造されたものや、老朽化した船体が多く存在していました。そのため、1949年度から国産の巡視艇の整備が開始され、最初に就役したのは15メートル型の「CL（そよかぜ型）」でした。これは、巡視船の性能や数が制限されていたため、基地周辺の沿岸海域を巡視するために設計されたものでした。その後、1964年度から「やかぜ型」、1968年度から「ちよかぜ型」が建造され、数十年にわたり続々と改良されました。

ところが、15メートル型の船体は装備の強化が進むにつれ、排水量が増加し、法律規制に抵触する部分も増えてきました。そこで、1977年度からは船体の大型化がスタートし、これにより18メートル型と呼ばれる新たなサイズが誕生しました。さらに、1991年度計画からは、ちよかぜ型の後継としてすずかぜ型が本格的に建造されるようになりました。最終的には、1980年代から90年代の間に96隻以上の「ちよかぜ型」が鋼製で建造されたのです。

設計と機能

このすずかぜ型の巡視艇は、プレジャーボートや小型漁船の高速化に対応するため、速度向上を目指して設計されています。船体の形状は滑走性能を最適化し、構造物や艤装品にはアルミニウム合金が使用されることで軽量化が図られています。一方で、主船体は高強度鋼製を用いており、耐久性にも配慮されています。

また、操舵室や居住区も拡張され、業務の効率化や居住性が向上しました。特に、操舵室には全乗員分のダンパー付き椅子が設置され、居住区にはシャワー設備が新たに導入されるなど、付加機能が充実しています。主推進機関も強化され、V型12気筒ディーゼルエンジンが搭載されています。これにより、すずかぜ型巡視艇は高速かつ効率的な運用が可能となっています。

多様な改良

すずかぜ型は、長年にわたり建造されたため、実績や業務内容に応じてさまざまな改良が施されています。例えば、一部の艇は船体幅を20センチ広げ、定員を6名に増加させています。また、推進装置はウォータージェットに変更され、浅海域での運用にも対応しています。
さらに、昨今の状況を考慮し、対新型コロナウイルス対応として、船室の拡大や隔離区画の設置も行われています。これにより、感染が疑われる患者を安全に搬送する機能が確保されています。

まとめ

すずかぜ型巡視艇は、日本の海上保安において非常に重要な役割を果たしており、これまで多くの改良を積み重ねながら進化を続けています。200隻を超える建造数はその運用の実績を物語っており、今後も海上の安全を守る存在として活躍することが期待されています。

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