すま (特務艇)

海上自衛隊の曳船「すま」

「すま」（ローマ字：JDS Suma, YT-21、YAS-02、ASR-431、ATR-431、YAS-45）は、日本の海上自衛隊に所属する曳船であり、特務艇でもあります。彼女の起源は、アメリカ海軍によって建造された港内曳船にあります。この艦艇名は、神戸市の風光明媚なスポットである須磨に由来しています。日本の艦艇として「すま」の名前を持つ艦は、須磨型防護巡洋艦や、イギリス海軍から鹵獲されたインセクト級砲艦に続いて、3代目となる特別な存在です。

船体の概要

「すま」は、アメリカで建造された「YTL-749」という港内曳船が前身で、1955年1月23日に海上自衛隊に供与されました。当初は「曳船21号」（YT-21）として支援船籍に登録され、その後1956年5月16日に「特務雑船2号」（YAS-02）に名を改めました。しかし同年10月16日には、自衛艦籍の特務艇に分類され、「すま」（ASR-431）となりました。

この艦艇は、第1掃海隊群に配備され、特に瀬戸内海での業務掃海任務に従事しました。当時は未だに戦争の影響が残っているため、戦中に残存していた機雷の掃除が重要な任務とされていました。「すま」は、曳船としての役割が活かされる形で、特に目立った改造は行われず、レーダーも装備されていない状態で運用されていました。

事故とその後

1967年には、広島県安芸郡の沖で暗礁に乗り上げる事故が発生しました。この事故によって深刻な浸水の危険が生じましたが、艦長は全速力で進み、約1.8km離れた竹田ノ浜浅瀬に擱座することで、沈没を免れることができました。この後、修理を行い任務に復帰しました。

「すま」は1969年4月1日に「特務船45号」（YAS-45）に類別変更され、そのままの形で運用を続けましたが、1974年9月30日に除籍されました。除籍後は橋立造船でパラオ・カロア市の実習船「Kari」へと改造されました。

軍歴

「すま」の建造は、アメリカのカリフォルニア州サンペドロのフェローズ・アンド・スチュワートで行われたとされていますが、具体的な建造年月日は不詳です。海上自衛隊に供与された後は、順を追って以下のような運用がなされました。

• - 1955年1月23日：海上自衛隊に供与され、「曳船21号」（YT-21）に類別。
• - 1956年5月16日：名称を「特務雑船2号」（YAS-02）に変更。
• - 1956年10月16日：特務艇として自衛艦籍に移行、「すま」（ASR-431）に命名。
• - 1967年3月24日：暗礁に乗り上げる事故が発生。
• - 1969年4月1日：支援船籍の特務船に改称、「特務船45号」（YAS-45）となる。
• - 1974年9月30日：除籍され、後に改造され実習船としての新たな役割を担う。

このように、「すま」は海上自衛隊における曳船の中でも特異な位置を占めており、名称はその後の海洋観測艦「すま」に引き継がれることとなりました。

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