すみだ北斎美術館

すみだ北斎美術館：葛飾北斎の世界に触れる、墨田区の文化拠点

すみだ北斎美術館は、江戸時代後期の天才浮世絵師、葛飾北斎の生涯と作品を深く探求できる、東京都墨田区亀沢にある公立美術館です。2016年11月22日の開館以来、国内外から多くの来館者を集め、墨田区の新たな観光名所として賑わいをみせています。

北斎と墨田区の深い繋がり

北斎は、現在の墨田区で生まれ、生涯のほとんどをこの地で過ごしました。美術館が建設された地も、北斎のゆかりの地とされることから、この場所に美術館を建設することが決定されました。当初は「北斎館」という仮称でしたが、2009年4月、「すみだ北斎美術館」へと正式名称が決定しました。

美術館建設までの道のり

美術館建設構想は1989年からスタートしましたが、資金難などにより一時凍結される時期もありました。しかし、2006年に東京スカイツリーの建設が決定したことを契機に、再び計画が動き出し、2014年7月に着工、2016年11月に竣工しました。建設地は、江戸時代に弘前藩津軽家の上屋敷があった場所で、発掘調査も行われました。美術館のロゴマークは、公募によって選ばれ、洗練されたデザインとなっています。また、墨田区は区内企業と連携し、北斎の作品をモチーフにしたオリジナルグッズを制作・販売する事業も行っています。

開館後の賑わい

開館記念コンサートには、歌舞伎俳優の尾上菊之助氏が出演するなど、盛況のうちに幕を開けました。開館記念展では、約100年ぶりに発見された「隅田川両岸景色図巻」など貴重な作品が公開され、多くの話題を集めました。開館半年後には年間来館者数20万人を達成するなど、その人気は高く、その後も来館者数は増加を続けています。2018年度には、日本建設業連合会主催のBCS賞を受賞するなど、建築物としても高い評価を得ています。

美術館の建築と館内施設

妹島和世氏設計によるスタイリッシュな建物は、アルミパネルの外壁が周囲の風景を映し込み、周辺環境に溶け込むようなデザインとなっています。地上4階、地下1階建てで、建築面積は699.7平方メートル、延床面積は3,280.4平方メートル、最高高さは21.9メートルです。墨田区の低地という地理的条件や、東日本大震災を踏まえ、収蔵庫や事務室は上階に配置されています。

館内には、ミュージアムショップ、図書室（葛飾北斎を中心とした専門図書館）、講座室、企画展示室、常設展示室、展望ラウンジなどがあります。常設展示室では、北斎の作品の高精細レプリカやデジタル解説などを用いて、作品を細部まで鑑賞することができます。

貴重なコレクション

美術館では、世界有数の北斎コレクターであったピーター・モース氏のコレクション約600点や、浮世絵研究の第一人者である楢崎宗重氏のコレクション約480点など、貴重な作品が多数展示されています。「富嶽三十六景」をはじめとする代表作や、「北斎漫画」などの貴重な資料を見ることができます。また、北斎最大の作品とされる「隅田川両岸景色図巻」は、デジタル解説で常設展示され、実物は企画展で公開されることがあります。

アクセス

JR総武線・都営地下鉄大江戸線の両国駅から徒歩圏内にあるほか、墨田区内循環バスも利用できます。

他の北斎関連美術館

北斎をテーマとした美術館は、すみだ北斎美術館以外にも存在します。長野県小布施町にある「北斎館」や、かつて島根県津和野町にあった「葛飾北斎美術館」などがあります。これらの美術館も、北斎の生涯や作品を知る上で貴重な存在です。

すみだ北斎美術館は、葛飾北斎の芸術に触れ、その魅力を再発見できる場所です。墨田区を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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