楢崎宗重

楢崎宗重：日本の美術史に燦然と輝く業績

楢崎宗重（1904年6月26日-2001年7月18日）は、20世紀を代表する日本の美術史家であり、その専門は浮世絵研究です。立正大学名誉教授の称号も持つ彼は、学究的な探求心と並外れた収集眼によって、日本の美術史に多大な貢献を果たしました。

佐賀県に生まれた楢崎は、東京帝国大学を卒業後、1942年に立正大学教授の職に就きます。長年に渡る教育活動と並行して、精力的に研究活動を行い、1954年には「近世風俗画様式史の研究」で東洋大学より文学博士号を取得。その学術的業績は高く評価され、日本の美術史研究に新たな地平を開きました。

彼の研究対象の中心は、日本の伝統的な版画である浮世絵です。その造形美や歴史的背景、社会文化的な意義を深く掘り下げ、数多くの論文や著作を発表しました。中でも注目すべきは、1962年の日本[[浮世絵協会]]の設立です。理事長に就任した楢崎は、同協会を牽引し、浮世絵研究の発展と普及に尽力しました。

学術研究活動に加え、楢崎は熱心な収集家でもありました。長年に渡り収集した美術品コレクションは、その規模と質の高さで知られており、1975年に立正大学を定年退職した後、これらの貴重なコレクションを墨田区に寄贈しました。これらのコレクションは現在、すみだ北斎美術館に所蔵され、多くの人々に鑑賞されています。この寄贈は、彼の美術に対する深い愛情と、広く社会に貢献したいという強い意志の表れと言えるでしょう。

彼の著作リストは、その多岐に渡る研究分野と旺盛な執筆活動を物語っています。単著としては『日本版画の美』、『美術と史学』、『北斎論』、『浮世絵史話』などがあり、いずれも浮世絵研究における重要な参考文献となっています。『広重』や『浮世絵の美学』といった、特定の作家やテーマに焦点を当てた著作も多数存在します。さらに、共著や編著も多く手がけ、『新らしい言語の辞林』、『日本風景版画史論』、『浮世絵全集』、『北斎と広重』、『浮世絵名作選集』など、多様な切り口から浮世絵の世界を紹介しています。また、海外の美術館に所蔵されている日本の絵画を紹介する『在外秘宝 欧米収蔵日本絵画集成』なども著しており、国際的な視野も持っていたことが分かります。これらの膨大な著作群は、後世の研究者にとって貴重な知見を提供し続けています。

楢崎宗重の生涯は、まさに日本の美術史研究に捧げられたものでした。学術的な成果だけでなく、美術品の収集と寄贈、そして日本[[浮世絵協会]]の設立など、多角的な活動を通して日本の美術文化の発展に大きく貢献しました。彼の業績は、今後も日本の美術史研究において重要な位置を占め続けることでしょう。彼の残した膨大な著作や収集品は、未来の研究者や美術愛好家にとって、尽きることのないインスピレーションの源であり続けることでしょう。

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