すみれ September Love

一風堂「すみれ September Love」の詳細解説

「すみれ September Love」は、日本のロックバンド、一風堂が1982年にリリースした楽曲です。この曲は、カネボウ化粧品の秋のキャンペーンソングとして企画され、CMにはアメリカの女優ブルック・シールズが出演したことで大きな話題となりました。

背景と制作

1980年代初頭、一風堂はメンバーの脱退などを経て活動休止状態にありました。しかし、土屋昌巳はソロ活動や他アーティストのサポートなどで音楽活動を続けていました。そんな中、カネボウ化粧品からCMソングの依頼が舞い込みます。当初、土屋は「絶対に売れないだろう」と思っていたそうですが、レコード会社や事務所の思惑もあり制作が開始されました。

制作過程では、土屋が多忙のため、サンプラーを駆使してほぼ一人で打ち込みを行いました。このサンプラーは、当時としては画期的なもので、ドラムの音もサンプリングで制作されました。作詞は竜真知子が担当し、CMの映像を見てから歌詞が作られたというエピソードもあります。

楽曲の特徴

「すみれ September Love」は、キャッチーなメロディーと、ニュー・ウェイヴの要素を取り入れたサウンドが特徴です。特に間奏部分のギターはノイジーで、土屋は「僕たちヘンなんだよ」という姿勢をアピールしたかったと語っています。また、AMラジオなどのモノラル音源で再生するとギター音が際立つという仕掛けも施されており、実験的なレコーディングが行われました。

リリースとヒット

1982年7月21日にシングルとしてリリースされた「すみれ September Love」は、当初は売れ行きが伸び悩みました。しかし、CMが放送されるとチャート順位は急上昇し、オリコンチャートで最高位2位を記録。売り上げ枚数は約45万枚となりました。また、この曲のヒットを受けて、一風堂初のベスト・アルバム『LUNATIC MENU』がリリースされました。

メディアでの使用

カネボウ化粧品のCMソングとしてだけでなく、テレビ番組にも多数出演しました。特に『ザ・ベストテン』では、土屋がロンドンから中継で出演し、ジャパンのメンバーもコメントを寄せるなど、洋楽ファンも注目しました。この曲のヒットにより、一風堂の知名度は飛躍的に向上しました。

SHAZNAによるカバー

1997年には、ヴィジュアル系バンドであるSHAZNAが「すみれ September Love」をカバーしました。このカバーバージョンもオリコンチャートで初登場2位を記録し、売り上げ枚数は67万枚と大ヒット。幅広い世代にこの曲が知られるきっかけとなりました。

その後の影響

「すみれ September Love」は、一風堂の代表曲としてだけでなく、日本の音楽シーンにおける重要な曲の一つとして語り継がれています。また、様々なアーティストによってカバーされており、その影響力は今もなお続いています。

その他

• - レコーディングには、メンバーそれぞれが個別に行い、PCMドラムなどの最新技術が導入された。
• - 土屋は、この曲のヒットを他人事のように感じていたという。
• - 一風堂がこの曲の路線を引き継がなかったのは、土屋のアーティストとしてのこだわりがあったからではないかと推測されている。

「すみれ September Love」は、単なるヒット曲にとどまらず、音楽史における重要な作品として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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