せとか

せとか：芳醇な香りと甘みが魅力の高級柑橘

せとかは、その名の通り、瀬戸内地方に由来する柑橘類です。長崎県と熊本県の間に位置する海峡にちなんで名付けられ、芳香性の高い柑橘として期待されています。みずみずしい果肉と上品な甘さが特徴で、近年、日本のみならず、韓国でも高い人気を誇っています。

生産と歴史

せとかは、1984年に長崎県で農研機構によって育成されました。タンゴールの「清見」と「アンコール」、そして「マーコット」を掛け合わせるという複雑な交配によって生まれた品種です。同じ交配パターンを持つ「麗紅」という近縁種も存在しますが、せとかとは系統番号が異なり、風味に違いがあります。

収穫期は2月上旬から下旬と比較的遅く、年明け以降に出回る中晩柑として、「はるみ」や「不知火（デコポン）」と共に市場で高い評価を得ています。収穫後の保存性にも優れ、海外からの注目も集めています。

せとかはトゲが多い品種であるため、果実に傷がつきやすいという弱点があります。そのため、高品質の果実を得るために、枝のトゲの除去や果実の袋掛けといった栽培方法が用いられることも少なくありません。

大玉で傷のないせとかは贈答用として高値で取引され、その需要の高さを示しています。トゲによるカンキツかいよう病の蔓延や作業の困難さを解消するため、2001年からトゲなし系統の選抜が進められており、2010年頃からは「トゲなしせとか」の苗木も販売されています。ただし、若い苗木にはトゲが生える場合もあります。

韓国での生産

2000年代初頭には、デコポンや甘平と同様に、せとかの種苗が日本から韓国の済州島に渡りました。2005年には韓国で新品種として「天恵香（チョネヒャン）」という名称で公募され、高級品種として取引されています。2020年には韓国で13,137トン、2022年には16,535トンのせとかが生産され、更なる増産が期待されています。

果実の特徴

せとかの果実は200～300グラム程度と、タンゴールとしては大きめのサイズです。果皮は非常に薄く、なめらかで美しい赤橙[[色]]をしています。浮き皮の発生も少なく、見た目も非常に魅力的です。

アンコールの親品種であるキングマンダリンに似た芳醇な香りを持ち、果汁糖度は13～14度と非常に甘く、酸味とのバランスも絶妙です。樹上での熟成によって酸味が程よく抜けるため、甘みと酸味の調和がとれた、極めて食べやすい柑橘です。

まとめ

せとかは、その優れた品質と魅力的な風味から、日本のみならず韓国でも高い人気を誇る高級柑橘です。生産においては、トゲの処理など栽培上の課題も存在しますが、その甘みと酸味のバランス、そして芳醇な香りは多くの消費者を魅了し続けています。今後も、贈答用としての需要や、新たな栽培技術の開発などを通じて、更なる発展が期待される柑橘と言えるでしょう。

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