ぜんざい公社

ぜんざい公社

「ぜんざい公社」は、落語の演目の一つで、主に官僚的な組織の非効率さや形式主義を風刺した内容です。元々は3代目桂文三の「改良ぜんざい」という演目を基に、4代目桂文紅が「お膳しるこ」と改作し、さらに2代目桂小南が改作を重ねて現在の形になったとされています。

概要

この演目の特徴は、現実社会におけるお役所の仕事ぶりを風刺している点です。そのため、時代を超えて多くの人々に共感を呼び、東西の落語家によって広く演じられています。演目名である「ぜんざい公社」は、かつて存在した公共企業体である日本専売公社（現JT）をもじったものです。専売公社の業務は1985年に民営化されましたが、現在でもタバコの宣伝文句やスローガンを引用したくすぐりが使われることがあります。

新作落語の中でも非常に人気が高く、寄席での上演回数も古典落語の定番ネタに匹敵するほどです。

あらすじ

物語は、ある男が「ぜんざい公社」という役所の存在を知り、ぜんざいを食べようと訪れる場面から始まります。しかし、公社に足を踏み入れた途端、男は住所の申告、書類の作成、健康診断の受診など、ぜんざいを食べる前の煩雑な手続きに翻弄されます。窓口の対応は硬直的で、書類と捺印ばかりを求める形式主義そのものです。挙句の果てには、複数の部署をたらい回しにされる始末。

ようやくの思いで手に入れたぜんざいは、高額な印紙代を支払ったにもかかわらず、汁気も甘味も全くない代物でした。男が苦情を申し立てると、食堂の担当官は「甘い汁はすべて当方が吸っております」と答えるというオチで締めくくられます。

このオチは、役人による不正や腐敗を暗示しており、観客に強烈な印象を与えます。

演者

「ぜんざい公社」を演じる落語家は数多く存在します。

2代目桂小南
2代目桂春蝶
古今亭寿輔
笑福亭鶴光
昔昔亭桃太郎
柳家小団治

昔昔亭桃太郎は、「唄入りぜんざい公社」と題して、北島三郎の「ブンガチャ節」の替え歌を歌う演出を取り入れています。

参考文献

サライ責任編集 『落語 昭和の名人』23号（2009年11月24日号） 小学館、2009年。
落語の蔵どっとこむ(文化放送と小学館が運営する公式情報配信型オンラインショップ)

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