そう言えば あの時このうた

そう言えば あの時このうた

『そう言えば あの時このうた』は、NHKワールド・プレミアムで不定期に放送されている音楽番組です。過去にはNHK BS2でも同様に不定期放送が行われていました。

番組概要

この番組は、NHKに保管されている1950年代から1980年代までの貴重なニュース映像を活用し、その時代のヒット楽曲（邦楽および洋楽）を合わせて紹介することで、当時の社会情勢や人々の暮らし、流行などを振り返るユニークな構成が特徴です。楽曲は年代別に邦楽編、洋楽編、そして1950年代の邦楽編に分けて取り上げられます。

放送形式と特徴

一回の放送時間は5分から30分程度と比較的短く設定されており、紹介される楽曲は2曲から12曲程度に限られます。時間の都合上、原曲が長い場合は編集して放送されることもあります。このような短尺フォーマットのため、番組の合間の時間調整、いわゆるフィラーとして利用される機会が多いのも特徴の一つです。

類似番組との比較

かつてNHK総合テレビで放送されていた『MUSIC BOX』とは、ニュース映像と音楽を組み合わせるという点でコンセプトが類似しています。しかし、『そう言えば あの時このうた』は衛星放送を中心に放送されていること、放送時間が短いこと、そして『MUSIC BOX』では後期に扱われなくなった洋楽も積極的に取り上げている点などが異なります。

時代を彩る映像と音楽

番組では、ニュース映像が当時の社会の出来事や文化を映し出し、それに寄り添うようにヒット曲が流れます。例として、以下のような時代と音楽の組み合わせが見られます。

1960年代: 高度経済成長期、東京オリンピック、学生運動など、激動の時代が描かれます。
洋楽編では、ビートルズ来日時の興奮を伝える映像と共に「ミッシェル」、ダッコちゃんブームや銀座の風景に「パイナップル・プリンセス」などが流れます。
邦楽編では、東京オリンピックに向けての工事映像に「東京五輪音頭」、集団就職の様子と共に「スーダラ節」が紹介されるなど、時代の息吹を感じさせます。

1970年代: 大阪万博、オイルショック、社会問題がクローズアップされる一方で、フォーク、ニューミュージック、アイドル歌謡が盛り上がった時代です。
洋楽では、ベトナム和平やウォーターゲート事件の映像にカーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」、原宿の様子にアルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空」が使われるなど、国際的な出来事や都市の情景が映し出されます。
邦楽では、大阪万博の華やかさに「世界の国からこんにちは」、石油危機の際のトイレットペーパー騒動に「やさしく歌って」が使われたり、ピンク・レディーの「ペッパー警部」や山口百恵の「ひと夏の経験」と共に当時のアイドルブームが紹介されたりします。

1980年代前半: 山口百恵の引退、コンピューターの普及、ユニークな流行が生まれた時期です。
邦楽では、山口百恵の引退会見や結婚のニュースに「ロックンロール・ウィドウ」、コンピューター時代の到来を告げる映像に谷村新司の「昴」などが流れ、時代の転換点が表現されます。

1950年代邦楽: テレビ放送の開始、マンボブーム、皇太子ご成婚など、戦後日本の復興期から安定期への移行期が描かれます。
「月がとっても青いから」と共にテレビ時代の到来が紹介されたり、「黄色いさくらんぼ」が皇太子ご成婚のニュースと組み合わされたりします。

その他の展開

番組の邦楽編（1960年から1979年まで）は、DVDとして商品化されています。全10巻構成で、2007年1月24日にNHKエデュケーショナルから発売されました。

また、通常はNHKワールド・プレミアムでの放送ですが、2007年にはNHKワールドTVでも、総理記者会見終了後の時間調整として短時間放送された例があります。

『そう言えば あの時このうた』は、歴史的な映像記録と時代を象徴する音楽を組み合わせることで、視聴者に過去の出来事や社会の雰囲気を追体験させる、資料的価値とエンターテイメント性を兼ね備えた番組と言えるでしょう。

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