たから (列車)

「たから」の歴史と概要

「たから」は、かつて日本国有鉄道が汐留と梅田間で運行していたコンテナ専用の貨物列車です。1950年代半ば、鉄道貨物輸送の主流が車扱貨物であった時代に登場したこの列車は、日本初のコンテナ専用列車として位置づけられ、21世紀の鉄道貨物輸送におけるコンテナ輸送の先駆けとなりました。

始まりと初期の運行

国鉄は1955年に3トンのコンテナを試作し、翌年からトラ30000形無蓋貨車を使用して汐留と梅田間で試験輸送を開始しました。試験は順調に進みましたが、営業開始後は、利便性や運賃の面で課題が残り、1959年には運用が中止されました。しかし国鉄はそれにめげず、6月からはチキ5000形コンテナ車を使った新たな試験輸送を開始し、成功を収めました。

「たから」の名は、1959年9月のダイヤ改正により設定されましたが、運行開始は同年11月にもかかわらず、戦後初の特急貨物列車として注目を集めました。この列車はEH10形電気機関車に牽引され、汐留から梅田間を結んでいました。

運行の詳細

「たから」は、全長460m、重量1,000トンの編成で、チキ5000形コンテナ車24両とヨ5000形車掌車を連結していました。特急速達列車として、最高速度85km/hで、汐留と梅田間を約10時間55分で結ぶ運行を行っていました。途中停車は沼津、浜松、稲沢、吹田操車場の4ヵ所で、積み下ろしは行われませんでした。

この運行スタイルは、時間厳守で安定した輸送サービスを提供することを狙いとしていました。列車番号は下りが第71列車、上りが第72列車として記録されており、定時運行が求められました。

発展と変化

1960年代には、「たから」の単独運行から徐々にコンテナ輸送が拡大しました。他の貨物列車にもコンテナ車が併結されるようになり、運行が多方面に広がっていきます。1961年のダイヤ改正で、「たから」は2往復運転に増便され、さらに1964年の東海道新幹線開業によるダイヤ改正を機に、貨物列車の数が増えました。

その後も「たから」はコンテナ輸送の推進役として役割を果たしましたが、1968年には列車の種別が特急から急行に変更されました。1969年にフレートライナーサービスが開始されると、「たから」の愛称は廃止となりましたが、その影響力は非常に大きかったです。

記念イベントと保存

「たから」の運行開始50周年を記念して、2009年には東京貨物ターミナル駅でイベントが開催されました。また、2016年には京都鉄道博物館に保存されたヨ5000形ヨ5008が「たから」時代の塗装に復元され、テールサインを掲出して展示されています。

このように「たから」は、日本の鉄道貨物輸送史において、非常に重要な役割を担い、今日の鉄道貨物輸送の礎を築いた列車であることが分かります。

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