たけしの挑戦状

たけしの挑戦状：常識をはるかに超えた、伝説のクソゲー

1986年、タイトーから発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト『たけしの挑戦状』。ビートたけし氏が監修を務めた本作は、会社員である主人公が南海の孤島に隠された財宝を探すというストーリーが展開されます。パッケージには明記されていませんが、ゲーム内では「ポリネシアンキッド 南海の黄金」というサブタイトルも存在しており、任天堂の公式サイトでは『ビートたけし作 たけしの挑戦状』を正式タイトルとしています。

常識を覆すゲーム性

本作は、サイドビューのアクションゲームとアドベンチャーゲームの要素を融合させた、他に類を見ない独特のゲーム性を持っています。ステージは日本の都市部と架空の南の島々で構成されており、ヤクザや原住民など、個性的なキャラクターが登場します。主人公は一般人を含むキャラクターに攻撃することも可能です。

ゲーム進行は、選択肢によって変化するアドベンチャーゲーム的な要素と、ハンググライダーを使ったシューティングパート、さらに独特のシステムが組み合わさっています。例えば、体力の回復手段として、バーでテキーラを飲む、島で宿泊する、しゃがんでハートを見つけるなど、多様な方法が用意されています。

最も特徴的な要素の一つに、2Pコントローラのマイク機能の活用があります。カラオケで歌を歌ったり、宝の地図を読み解く際に特定の言葉をマイクに向かって発声するなど、常識では考えられない操作が要求されます。音声認識ではなく、単にマイクへの入力があれば判定されるため、歌唱力や発声の正確性は求められません。

難易度とゲームオーバー

本作は、その極めて高い難易度で知られています。攻略本なしではクリアがほぼ不可能と言われるほどで、多くのプレイヤーを苦しめてきました。ゲームオーバーとなるイベントも多岐に渡り、飛行機の墜落、ハンググライダーでの墜落、原住民による釜茹での刑、宝の横取りなど、様々な要因でゲームオーバーとなります。

パスワードシステムによって、ある程度ゲームを進めた状態から再開することも可能ですが、特定の文字列を入力すると、クリアに必要なアイテムを持っていない状態でゲームを再開してしまうなど、罠が仕掛けられています。

ストーリーと舞台

主人公はごく普通のサラリーマンで、パチンコや酒、カラオケを楽しむ日々を送っています。ある日、スナックでヤクザを追い払ったことから、怪しい老人から宝の地図を受け取ります。宝探しを決意した主人公は、会社を辞め、妻と離婚し、様々な資格を取得して、南の島へと旅立ちます。ハンググライダーで空を飛び、原住民や危険な地形を乗り越え、ついに財宝を発見する、というストーリーです。

ゲームの舞台となるのは、クレイジーシティと呼ばれる架空の都市と、南太平洋の島々です。主人公の職場、スナック、パチンコ店、空港など、個性的な場所が登場します。ひんたぼ島では、独特の言語「ひんたぼ語」が使用されており、これはシーザー暗号のような文字の置き換えによって構成されています。

移植版と再評価

本作は、Wiiのバーチャルコンソールや、iOS/Android向けアプリ「TAITO CLASSICS」でも配信されました。移植版では、難易度調整機能が追加されたり、新ステージが追加されたりと、様々な変更が加えられています。

発売当初は「クソゲー」として酷評された本作ですが、近年では独特の世界観や、北野映画に通じる不条理な展開などが再評価され、カルト的な人気を博しています。売上も80万本を記録するなど、当時のヒット作に匹敵する人気を誇りました。

開発秘話

『たけしの挑戦状』は、タイトーの企画から始まりましたが、たけし氏のアイデアが反映され、最終的にはたけし氏の意向が強く反映されたゲームとなりました。開発には、たけし氏自身も積極的に関与しており、数々の打ち合わせが行われました。当初はシューティングゲームの企画案でしたが、たけし氏の斬新なアイデアが次々と加えられ、現在の形になったとされています。たけし氏は「高橋名人にギャフンと言わせるゲーム」を目指したと語っており、その結果、極めて高い難易度を持つゲームが誕生しました。

開発陣は、発売後、本作の異常な難易度を反省する声も上げています。しかし、その難解さゆえに、多くの人々の記憶に刻まれた、伝説的なゲームとなりました。

まとめ

『たけしの挑戦状』は、その難解さや不条理さから「クソゲー」と呼ばれながらも、独特の世界観や斬新なゲーム性で、多くのゲーマーを魅了し続けている作品です。発売から30年以上経った現在も、その伝説は語り継がれ、様々なメディアで取り上げられています。その異様なまでの個性こそが、本作の最大の魅力と言えるでしょう。

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