たたいて・かぶって・ジャンケンポン

たたいて・かぶって・ジャンケンポンは、主にお座敷などで二人で行われる対戦型ゲームです。じゃんけんの結果に基づいて攻守が瞬時に決定され、攻撃側は相手の頭部への打撃を試み、防御側は素早い反応でそれを防ぐことを目指します。この遊びの魅力は、その単純明快なルールの中に生まれる、予測不能な展開と一瞬の駆け引きにあります。

この遊びの起源については、いくつかの説がありますが、広く知られているのは、落語家の六代桂文枝師匠（当時は桂三枝）が、テレビ番組『ヤングおー!おー!』（毎日放送）内のコーナーとして考案したというものです。ただし、番組で紹介される以前から似たような形式の遊びが存在していた可能性も指摘されており、「ヘルコンジャンケン」や「ハンマーヘルメット」といった別名で呼ばれることもあります。これらの別名を持つ遊びが、元々の原型であった可能性も否定できません。

正式な規定が存在しないため、地域や集団によって細部が異なることもありますが、一般的な進行手順は以下の通りです。

準備: プレイヤーは互いに向き合い、50センチから1メートル程度の間隔を空けて座るか立ちます。二人の間には、攻撃に使用する棒（またはそれに類するもの）と、防御に使うヘルメット（またはそれに類するもの）を置きます。お座敷遊びの性格上、座布団を敷いて座って行うことが多いです。
じゃんけん: 通常のじゃんけんとは異なり、「たたいてかぶってじゃんけんぽん」という特別な掛け声で行います。あいこになった場合は、勝負が決まるまで繰り返します。
攻守の決定と同時行動: じゃんけんで勝った方が攻撃側、負けた方が防御側となります。勝負が決まったその瞬間、攻撃側は中央にある棒を手に取り、防御側の頭をめがけて振り下ろします。一方、防御側は同時に中央のヘルメットを掴み、素早く自分の頭にかぶって攻撃を防がなければなりません。
勝敗: 防御側がヘルメットを完全に頭にかぶせる前に、攻撃側が棒で頭部に触れることができれば、攻撃側の勝利（最終勝利）となります。逆に、防御側が間に合えば、攻撃側の攻撃権はそこで終了となり、再びじゃんけんを行って次の攻防に移ります。
反則: 素手で相手を叩く行為、ヘルメットを使って攻撃する行為、また防御側が攻撃に転じる行為は反則負けとなります。

使用する用具には、特別なものを用意する必要はありません。

棒: 相手の頭を叩くために使いますが、安全性のため、木刀のような硬いものではなく、新聞紙を丸めてテープで巻いたもの、ハリセン、ピコピコハンマーなど、衝撃が和らげられるものが推奨されます。
ヘルメット: 頭部を守るためのものですが、あくまで防御が間に合ったかの「合図」としての意味合いが強いため、衝撃吸収力よりも素早くかぶれる形状が重要視されます。工事用ヘルメットの他、ザル、鍋の蓋、ボウルといった半球形のものが代用されることもよくあります。白熱した場面では、このヘルメットが攻撃手段として使われることもあるようです。
座布団: 必須ではありませんが、座って行う場合は各プレイヤーの下に敷くと、よりお座敷遊びらしい雰囲気になります。

用具については、通常は棒とヘルメットをそれぞれ人数分（2人なら各2個）用意しますが、棒とヘルメットをそれぞれ1つずつに減らし、どちらを先に取るかという要素を加えることで、ゲーム性を高めるアレンジも存在します。

この遊びは、じゃんけんという偶然の要素と、その後の反射神経・瞬発力という実力要素が組み合わさっている点が特徴です。類似する遊戯としては、じゃんけんで勝った方が太鼓を叩き、負けた方が回る「おまわりさん」という座敷遊びがあります。

また、テレビ番組との関連が深いため、バラエティ番組で頻繁に扱われてきました。「オールスターびっくり新年会」では「ヘルコンジャンケン」として、「春だヨ!番組対抗オールスター爆笑ゲーム大会」では「ハンマーヘルメット」として行われた記録があります。近年では、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」で「TKJグランプリ」という形で芸人たちが競う企画が行われたり、「クイズ!脳ベルSHOW」や「BSフジ11時間テレビ」でも「TKJP」と称して実施されたりしています。このように、様々な番組で形を変えながらも、そのシンプルさと面白さから多くの人に親しまれ続けている遊びです。

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