お座敷遊び

お座敷遊びとは

お座敷遊びとは、主に料亭や茶屋といった場所で、芸妓や舞妓を招いて行う宴会での遊びの総称です。簡単な道具や手振りを使い、参加者同士が交流を深めることを目的としています。負けた場合には罰杯としてお酒を飲む、といったルールがあることも特徴です。座敷遊び、お茶屋遊び、舞妓遊び、芸者遊びなど、様々な呼び方があります。

歴史

お座敷遊びの原型は、宴席に華を添える役割を担っていた白拍子にあるとされています。江戸時代に入り、水茶屋の茶汲女が歌や踊りを披露するようになり、現在のお座敷遊びの形に体系化されていきました。

現代におけるお座敷遊び

現代において、お座敷遊びは一般の人々にとっては少し敷居が高いものとなっています。理由としては、多くの花街の茶屋が「一見さんお断り」という形式を取っていることが挙げられます。しかし、旅行プランの中には、一見さんでも利用できる茶屋を紹介してくれるものもあります。

また、お座敷を予約した幹事は、料金とは別に「心づけ」をおかあさんに渡すのがマナーとされています。これは感謝の気持ちを示すもので、ポチ袋に入れて渡すのが一般的です。

お座敷遊びのルールも時代とともに変化しており、例えば「金毘羅船々」で使用する「袴」の代わりにライターなどの小さな物でも良いとされるなど、柔軟な対応が見られるようになっています。

お座敷遊びの例

虎拳（とらけん）

「虎拳」は、和藤内、虎、老婆の三者が互いに強い弱いを持つという、三すくみの関係を利用した遊びです。花街では、和藤内が加藤清正、老婆が妻という設定になることもあります。

元々は襖や衣装を使った大掛かりな遊びでしたが、現在では襖のみを使用し、ジェスチャーでそれぞれの役を表現することが一般的です。遊びの開始前には「とらとら」という囃子唄を歌い踊ります。

おまわりさん

「おまわりさん」という掛け声とともに太鼓を叩き、じゃんけんをする遊びです。負けた人は回り、勝った人は太鼓を叩きます。先に連続で負けた人がお酒を飲むというルールですが、太鼓を叩く回数や敗北条件は地域や文献によって異なります。

金毘羅船々（こんぴらふねふね）

香川県の民謡「金毘羅船々」に合わせて、台の上に手を置いていく遊びです。台の上には袴が置いてあり、それを取るか残すかで次の手の形が決まります。袴がある場合は手を広げ、ない場合は手を丸めて置きます。手を間違えた人が負けとなります。歌のスピードが徐々に速くなるため、間違えやすくなります。現代では袴の代わりにライターなどが使われることもあります。

さんざい

お座敷でのお酒を楽しんだ後、京都の通り唄に合わせて芸妓や舞妓と一緒に歌い踊る遊びです。「さんざいしまひょか」という掛け声で始まり、「騒ぎましょう」という意味合いがあります。

野球拳

「野球をするなら〜」という歌に合わせて踊り、「ランナーになったらえっさっさ」という歌詞で相手と場所を交換します。「よよいのよい」でグーを出し、そのあとじゃんけんをします。負けた人がお酒を飲むというルールです。

夫婦拳（めおとけん）

芸者と客がペアになり、2組4人で行うゲームです。ペアは相手に見えないようにじゃんけんの手の出す順番を決めておき、じゃんけんで負けたり、決めた手と違う手を出したりしたら負けとなります。

迷惑拳

輪になってじゃんけんをし、負けた人の隣の人が罰杯を受けるという遊び方と、親が数字を言い、参加者がパーまたはグーを出すことで親を交代していく遊び方があります。

五重塔

五段に重ねたお猪口を、手を使わずに口だけで飲んでいき、空のお猪口で五重塔を作れば勝ちというゲームです。途中でこぼしたり倒したりしたら負けとなります。

陣取り

男女ペアが新聞紙の上に乗り、じゃんけんをして負けた方が新聞紙を半分に折り畳んでいくゲームです。新聞紙が小さくなってきたら、おんぶや肩車も許可されます。新聞紙から足が出たら負けとなります。

投扇興（とうせんきょう）

扇子を投げて、的（蝶）に当てるゲームです。的の倒れ方によって点数が決まり、合計点が高い人が勝ちとなります。点数の付け方には流派があり、百人一首や源氏物語に因んだ名前が付けられています。

おひらきさん

舞妓や芸妓と向かい合って立ち、じゃんけんをして負けた方が足を少し開いていくゲームです。倒れたり、これ以上開けなくなったら負けとなり、お酒を飲みます。

可杯（べくはい）

土佐のお座敷遊びで、天狗、おかめ、ひょっとこの絵が描かれたコマを使用します。コマを回し、自分に向いた絵の杯でお酒を飲むというルールです。それぞれの杯には特徴があり、飲み干すまで置けないものや、穴が開いていて指で塞ぎながら飲まないとこぼれてしまうものなどがあります。

菊の花

土佐のお座敷遊びで、参加人数分の逆さにしたお猪口の中に菊の花を隠し、「誰が取るか菊の花」という唄に合わせて順番にお猪口を開けていきます。菊の花が入ったお猪口を開けた人が、残りの開いているお猪口の数だけお酒を飲みます。

箸拳（はしけん）

土佐発祥のお座敷遊びで、6本の箸を使用します。じゃんけんで先攻後攻を決め、先攻は受け、後攻は打ち込みとなります。受けは箸の本数を隠して出し、打ち込みは受けと打ち込みの合計が3本になるように箸を出します。お互いの箸を見せ合い、合計本数によって勝敗が決まります。負けた人がお酒を飲みます。

しばてん踊り

芝天狗という妖怪になりきって踊るお座敷遊びです。頭にしばてんの手ぬぐいを巻いて踊ります。

この他にも、麦つんで、桶かしとくれやす、猫タコ坊主、石の地蔵さん、いろはのいの字、お若いの、御幣まわしなど、様々なお座敷遊びが存在します。

現代では遊ばれないお座敷遊び

チャリ舞

都都逸や串本節、法界節などに合わせて寸劇のように遊ぶものでしたが、芝居や歌舞伎の知識がないと楽しめないため、現代ではあまり遊ばれなくなりました。