たてかべ和也

たてかべ 和也（たてかべ かずや）の生涯

生い立ちと背景
たてかべ 和也は1934年に北海道虻田郡喜茂別町に生まれ、幼少期に東京都世田谷区下北沢へ転居しました。彼の家族は農業に携わっており、父親は胆振縦貫鉄道に勤務していました。1942年、父親の体調問題に伴い、家族は東京に移住。幼少期から自分の個性を意識し、いじめにも遭いましたが、それが彼の人生に与えた影響は少なくありません。子供時代には野球に情熱を注いでおり、後に東京教育大学附属駒場中学校にも進学しました。

演技の世界への足掛かり
高校時代には演劇部の公演に参加し、その体験から俳優としての素質を感じるようになりました。しかし、当時は演劇部に正式に入部することはせず、代わりに劇団民藝や文学座の作品を観て回り、演劇への情熱を高めていきました。彼はその後、日本大学芸術学部演劇学科に進学。ここで彼は小林清志という才能ある同級生と出会い、演技の基礎を学ぶこととなります。

大学卒業後はテレビプロデューサーを目指し、様々な放送会社の試験を受けるも失敗。最終的には日本テレビで大道具係の職につきながら、演劇にも関わり続けました。その後、劇団泉座に参加し、中国劇を中心に活動しましたが、あまり面白くない作品に取り組まなければならない時期もありました。

声優としての活動
1970年代に洋画吹き替えの仕事に携わるようになり、声優としてのキャリアをスタートさせました。特に『タイムボカン』シリーズや『ドラえもん』のジャイアン役で名を馳せ、子供たちに親しまれる存在になりました。長い間、本名で活動していましたが、1979年には子どもにもわかりやすい名前の「たてかべ和也」に改名しました。

また、1979年には自身が設立に関わった制作会社「オフィス央」で社長を務めながら声優活動を続けるという独自のスタイルを築きました。彼のプロデュース力は高く、これにより多くの若手声優を育成しました。

受賞歴と評価
たてかべは、2005年には『ドラえもん』のオリジナルメンバーと共に田山力哉賞を受賞。さらに2006年と2007年にはアニメーション分野で特別賞を受賞するなど、その功績は高く評価されています。彼は、俳優としての業績のみならず、教育者としての側面でも多くの影響を与えました。

闘病生活と最期
2009年に胃がんの診断を受け、胃を全摘出しましたが、その後も声優としての仕事を努力して全うしました。彼が最後まで演じたのは『ベン10』でのマックス・テニスン役であり、2015年6月に急性呼吸不全により亡くなりました。享年80歳。彼の死後、ファンや関係者からの追悼が寄せられ、その影響力の大きさを改めて認識されました。

人物像と影響
たてかべは、声優としてだけでなく、人間性でも愛された人物でした。「元気、勇気、人気、時々呑気」を座右の銘に捉え、声優業界の若手声優たちにも育ての精神を持って接しました。彼の演じた剛田武（ジャイアン）は、多くの子どもたちの思い出に刻まれ、長年語り継がれていくことでしょう。彼の存在は、これからも日本のアニメ文化の中で生き続けます。

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