たんせい

たんせい (MS-T1)について

たんせい（MS-T1）は、東京大学宇宙航空研究所が開発した技術試験用の人工衛星です。この衛星は、Μ（ミュー）ロケットによって打ち上げられた最初の人工衛星であり、日本電気がその開発および製造を担当したことでも知られています。名称の「たんせい」は、東京大学のスクールカラーである淡青に因むものであり、開発名のMSは「Mu Satellite」の略および試験機であることを示すTが付加されています。

開発の背景と目的

（MS-T1）は、宇宙航空研究所で開発された全段固体ロケットM-4Sの性能確認を目的としていました。このロケットは1969年に科学衛星「MS-F1」の打ち上げを試みましたが、失敗に終わりました。そして、次に予定されていた科学衛星「MS-F2」を打ち上げる前にロケットの信頼性をテストする必要が生じ、MS-T1の開発が決定されました。また、この人工衛星は軌道上の内部環境を調査することも重要な目的としています。

MS-Tシリーズは、工学試験ミッションとして設計され、後に続くMUSESシリーズとは異なり、主に人工衛星そのものの性質とロケットの性能を試験することに焦点を当てています。MUSESシリーズは、未来の科学的ミッションでの技術開発を目指している点が、MS-Tシリーズとの大きな違いです。

機体の特長

当機は、MS-F1の設計や試作された構体および部品を流用して約3か月で完成し、そのため外見はMS-F1やその後のF2（しんせい）衛星と似通っています。搭載されている機器は、人工衛星にとって基本的なシステムを含んでおり、以下の装置が搭載されました：

• - テレメーター送信機 (TM)
• - コマンド受信機 (CM)
• - データレコーダ (DR)
• - 酸化銀電池 (BAT)
• - 衛星内部環境計測器 (HK)
• - 姿勢系 (GAS) - 地磁気姿勢系および太陽センサーを使用
• - 太陽電池の性能計測器 (SC-M)

これらの機器の中で、電源系を除く大半はMS-F1のものをそのまま利用しています。

運用について

たんせい（MS-T1）は、1971年2月16日の午後1時（JST）に鹿児島宇宙空間観測所からM-4Sロケットの2号機によって打ち上げられました。衛星は近地点高度989km、遠地点高度1,109km、軌道傾斜角30°の軌道に投入され、約1週間の試験を実施しましたが、2月23日には電池が寿命を迎え、運用を終了しました。

関連プロジェクト

MS-T1と同型の衛星にはMS-F1やMS-F2（しんせい）があります。また、MS-Tシリーズには、たんせい2号（MS-T2）、たんせい3号（MS-T3）、たんせい4号（MS-T4）、そしてさきがけ（MS-T5）といった後続機も存在しています。

このように、たんせい（MS-T1）は日本の宇宙開発において重要な試験機であり、次の科学技術的な挑戦の土台を築く役割を果たしました。

もう一度検索