ちびっこ機関車パーシー

ちびっこ機関車パーシー

『ちびっこ機関車パーシー（汽車のえほん11）』は、1956年にイギリスで発行されたウィルバート・オードリー牧師による児童向け絵本シリーズ「汽車のえほん」の第11巻です。この巻には、パーシーという小さな機関車が主役として登場し、彼を中心に4篇の短編が収められています。挿絵はレジナルド・ダルビーが手がけており、内容は子供たちに大変親しまれています。

この本の日本語訳は、1974年7月にポプラ社によって初めて出版されましたが、その後一旦絶版となりました。その後、2005年には新装改訂版が刊行され、続けて2010年12月にミニ新装版が発表されました。また、日本語版では初期のタイトルとして「ちびっこ機関車パーシィ」と名付けられていました。

成立の過程

「汽車のえほん」シリーズは1945年に始まり、毎年新しい巻が追加されてきました。今回の第11巻は、前作「みどりの機関車ヘンリー」から続く、1巻1主役スタイルの最終章となっています。この巻がダルビーにとって挿絵を担当した最後の巻となった理由は、オードリー牧師が描写に満足せず、「赤線の入った芋虫だ」と表現したことに起因します。この言葉に激怒したダルビーは、以降の作品からは降板することになりました。

収録作品

本書には以下の4つの物語が収録されています：

1. パーシーと信号 (Percy and the Signal)
2. パーシーとダック (Duck Takes Charge)
3. パーシーとハロルド (Percy and Harold)
4. パーシーとこうずい (Percy's Promise)

これらの物語は、パーシーの冒険や仲間たちとの交流を描いています。また、物語の中には新キャラクターとしてダックが初めて登場し、彼の本名「モンタギュー」もここで明らかになります。

登場キャラクター

この巻には以下の主要なキャラクターが登場します：

• - パーシー
• - トーマス
• - ジェームス
• - ゴードン
• - ヘンリー
• - トビー（一度だけ登場）

また、サブキャラクターとしてハロルドが初めて登場します。彼は航空機であり、パーシーとのやりとりが楽しめます。物語の中では、パーシーがハロルドに付けたあだ名「ぐるぐるとんぼ」も印象的です。

さらに、アニーとクララベルも登場し、物語の舞台である洪水地帯を突破する様子が描かれています。

その他の情報

物語の中では、パーシーがハロルドと競争する場面がありますが、実際にはハロルドが競争に気づかないままパーシーが頑張るだけの状況が描かれています。このようなユーモラスな展開も、絵本の魅力の一部です。

この作品は、メカノ社からOゲージの模型も発売されましたが、売れ行きはイマイチで短期間しか製造されなかったという逸話も残っています。おそらく、シリーズのファンにはたまらない一冊となることでしょう。

日本語訳版でも愛され続けている『ちびっこ機関車パーシー』は、次世代の子供たちに夢を与える作品として、引き続き多くの人に読まれることでしょう。

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