ちょこパフェ

『ちょこパフェ』は、漫画家いずみが手がけた4コマ漫画作品です。作者にとって、これが初めての商業誌における連載デビュー作となりました。芳文社の漫画雑誌『まんがタイムきらら』にて2002年12月号から2005年4月号にかけて、また同社の『まんがタイム』にて2003年7月号から2004年3月号、および2004年7月号にわたり掲載されました。

物語の中心となるのは、ケーキ店「パティスリー・ショコラ」を営む家庭に生まれた小学4年生の少女、桂木千代子。フランスからの帰国子女である彼女は、大のチョコレート好きで、将来の夢は自身もパティシエになることです。父親譲りの非凡な才能を持ち合わせており、ケーキの素材の産地を正確に言い当てたり、プロ顔負けのオリジナルケーキを自作することもできます。常に鞄に大量のチョコレートを忍ばせており、学校にお菓子を持ち込んでは担任の望月かしわ先生に注意されることもしばしば。チョコレートを口にしないと力が出ないという特異な体質の持ち主で、なんと歯磨き粉の代わりにチョコレートを使用しているとあずきに指摘されたこともあります。驚くべきことに、どれだけ食べても太らない体質です。特に三井あずきの妹であるきなこを溺愛しており、きなこが少しでも体調を崩すと過剰なまでに心配し、果ては養子に迎えようと考えるなど、その愛情表現は度を越しています。本人は覚えていませんが、実はフランスへ渡る直前の5年前に、三井あずきと一度出会っています。千代子が髪に付けているトレードマークの赤いリボンは、元々はあずきの持ち物で、別れ際に千代子に贈られたものです。千代子の名前は「ケーキ」と「チョコ」に由来しています。

登場人物

桂木家

桂木大介: 千代子の父親。「パティスリー・ショコラ」の店主で、「伝説のパティシエ」と称される天才です。しかし現在は太ってしまったため、人前に出るのを避け、店の奥に引きこもりがちになっています。若い頃からその才能を認められており、食材には強いこだわりを持っています。千代子曰く、痩せていた頃はまるで俳優のトム・クルーズのようなイケメンだったとか。娘である千代子には非常に甘い父親です。名前は「ケーキ大好き」から取られています。
桂木珠子: 千代子の母親。時々、独特な発想から奇妙なケーキを作り出すことがあります。パティシエールの友人、久木好子とは表向きは仲が良いものの、実は互いをライバル視しており、単純な友人関係ではありません。名前は「卵」に由来します。

三井家

三井あずき: 千代子のクラスメイトで、自宅は和菓子屋「みつい」を営んでいます。学校では学級委員を務めるなど、成績優秀な優等生です。転校してきた千代子とは隣の席になります。家業である和菓子屋を将来継ぐことに強い意志を持っています。少し意地っ張りな一面もあります。物語の準主人公的な存在ですが、千代子のことを「桂木さん」と苗字で呼び続けます。千代子とは何かと張り合うことが多く、時には学級委員でありながらお菓子を持ち込んで味比べをし、千代子と共に望月かしわ先生に叱られることもあります。妹のきなこを深く可愛がっています。クラスメイトの佐藤くんに想いを寄せています。本人には記憶がありませんが、5年前に千代子と出会っており、千代子が髪に付ける赤いリボンは、別れ際に彼女にプレゼントしたものです。名前は「蜜」と「小豆」に由来します。
三井きなこ: あずきの妹。5歳。口数は多くありませんが、非常にしっかりとした性格で、渋い好みをしています。動物が好きで、パソコンが得意でホームページを作成することもできます。名前は「黄粉」に由来します。
おじいちゃん: あずきときなこの祖父で、「みつい」の7代目を務めています。作中では名前は明かされませんでしたが、単行本の紹介によると若い頃はかなりのやんちゃをしていたようです。

その他の人物・動物

望月かしわ: 千代子たちのクラスの担任教師。36歳ですが、年齢を偽り24歳だと主張しており、生徒たちには見抜かれています。学校ではジャージとサンダルというラフな格好をしています。結婚を強く望んでいますが男運に恵まれず、結婚詐欺に遭いかけることも。学生時代は水泳部に所属していました。生徒から没収したお菓子を他の教師に分けずに一人で食べてしまう一面も。ダイエットに挑戦するもすぐに挫折し、やけ食いの末に食中毒で痩せるという皮肉な結果に。後に、千代子が保護した猫のトラさんを引き取ることになります。名前は「柏餅」に由来します。
クロエ・ロシェ: 千代子の幼馴染で、パリに住むお嬢様です。名前の「クロエ」はフランスの菓子店「エリティエ」のムースケーキから、「ロシェ」はフランス語で「岩山」を意味し、合わせて「山のような沢山のチョコレートケーキ」という意味が込められています。
古津りんご: 千代子とあずきのクラスメイト。裕福な家庭ではありませんが、おっとりとした優しい性格の少女です。千代子に猫を飼わないかと誘われますが、猫を食べてしまうかもしれない魚を飼っているため断りました。名前は「フルーツ」と「リンゴ」に由来します。
佐藤くん: 千代子、あずき、りんごのクラスメイト。容姿端麗で女子から非常にモテますが、チョコレートや餡子といった甘いものが苦手です。千代子のことを気にしている様子も見られますが、千代子本人は彼にあまり関心を示しません。一方で、あずきからは密かに想いを寄せられています。苗字は「砂糖」に由来します。
吉田先生: 千代子たちが通う学校の教師で、かしわ先生の同僚。運動会のかしわ先生と二人三脚で参加し優勝しますが、張り切りすぎたかしわ先生に引きずられる形でした。
加藤先生: 学校の体育教師で、かしわ先生の同僚。かしわ先生が彼のためにバレンタインのチョコを机に置いたところ、それが落下。落し物として届けられたチョコを校長先生が自分宛てと勘違いして食べてしまい、体調を崩して病院へ運ばれるという騒動に巻き込まれましたが、真相をかしわ先生は知りません。
白雪愛子: 千代子たちのクラスがある4年3組の担任教師。大学を出たばかりの23歳で、名前通りの美人です。運動会でクラスを勝たせるため「勝ったらアイスをおごる」と生徒に約束したり、千代子にチョコレートを渡してリレーで手を抜かせようとするなど、物を餌に他人を動かそうとする傾向があり、かしわ先生からは良く思われていません。
久木好子: 桂木珠子の友人でパティシエール。自身の店だけでなくデパートにも支店を持つ実力者です。珠子とは学生時代からの友人ですが、互いをライバル視しているため、完全に友好的な関係ではありません。千代子のパティシエとしての才能を認めていますが、それは父親である大介譲りであり、母親の珠子からのものではないと考えています。苗字の読み方は作中では不明です。苗字は「クッキー」に由来します。
トラさん: 千代子が街で保護した捨て猫。当初千代子が飼おうとしますが、食品を扱う家業のため母親の珠子に反対され、里親を探すことに。一度引き取られますが、猫ケーキが恋しくなり3日で千代子の家に戻ってきます。猫ケーキの食べ過ぎで太ってしまった後、望月かしわ先生に引き取られて飼われることになります。可愛らしい見た目でしたが、かしわ先生に似て人相（猫相）が悪くなってしまいました。千代子に「トラ」と名付けられますが、珠子の指摘で「トラさん」が正式名称となり、かしわ先生に引き取られてからもその名前のままです。
シャルロット: クロエ・ロシェが飼っているウサギ。千代子とあずきがクロエを出迎えた際、千代子が最初にウサギの名前を呼んだため、あずきはシャルロットが人間でクロエがウサギの名前だと勘違いしていました。

書誌情報

『ちょこパフェ』芳文社〈まんがタイムKRコミックス〉
第1巻: 2004年6月11日発行 (ISBN 4-8322-7509-7)
第2巻: 2005年7月12日発行 (ISBN 4-8322-7540-2)

全2巻が刊行されています。

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