つるのうた

『つるのうた』は、2009年4月22日にポニーキャニオンから発売された、つるの剛士による初のカバーアルバムです。このアルバムは、フジテレビ系『お笑い芸人歌がうまい王座決定戦』での発言がきっかけとなり制作されました。当時、番組で「M」を歌唱したつるのに対し、くりぃむしちゅーの有田哲平が「カバーアルバムを出せば」と提案したことが、アルバム制作のきっかけとなりました。

羞恥心での活動中であったつるのは、当初は冗談交じりに返していましたが、2008年12月に上地雄輔と共にソロCDの発売を発表。しかし、羞恥心のプロデューサーであった島田紳助は、人の歌を歌うことの難しさを指摘し、当初はカバーアルバムの制作に反対していました。

アルバムのカラーリングは、赤色の『つるのうた』、青色の次作『つるのおと』、そして黄色のライブDVD『つるのいろ』と、羞恥心のカラーを意識した配色となっています。発売に際しては、つるの剛士がパーソナリティを務めていたラジオ番組『BPR5000』が、CD発売前日に一夜限りで復活し、話題となりました。

『つるのうた』は、2009年5月第1週のオリコン週間アルバムチャートで1位を獲得。男性ソロによるカバーアルバムの首位獲得は、吉田拓郎、徳永英明に次ぐ3人目の快挙となりました。さらに、翌々週の週間アルバムチャートでは、徳永英明の『WE ALL』と僅差で2位を記録。その人気と実力を証明しました。また、第51回日本レコード大賞では、次作『つるのおと』と共に企画賞を受賞しています。

2012年3月14日には、カバーアルバム第3弾となる『つるのうた2』が発売され、シリーズとしての人気も確立しました。

アルバムは、CD+DVDとCDのみの2形態で発売。CDには、プリンセス プリンセスの「M」、ORIGINAL LOVEの「プライマル」、中西保志の「最後の雨」、森山直太朗の「愛し君へ」など、幅広いジャンルの名曲が収録されています。また、DVDには、「M」と「永遠」のミュージックビデオのほか、プライベート映像も収録されています。

特筆すべきは、収録曲の選曲とアレンジです。つるのは、自身のルーツとなる楽曲を丁寧にカバーし、原曲へのリスペクトを込めつつ、自身の個性を加味した新しい解釈を提示しています。例えば、プリンセス プリンセスの「M」では、原曲の持つ切ないメロディーを大切にしながらも、つるの自身の歌声で、より一層情感豊かに表現しています。また、斉藤和義の「歩いて帰ろう」では、原曲の持つ軽快なリズムを活かしつつ、少し大人びた雰囲気のアレンジが施されています。これらのアレンジは、単なるカバーに留まらず、新たな音楽体験を提供することに成功しています。

収録曲は以下の通りです。

CD
1. M / プリンセス プリンセス
2. プライマル / ORIGINAL LOVE
3. 最後の雨 / 中西保志
4. 愛し君へ / 森山直太朗
5. 歩いて帰ろう / 斉藤和義
6. 君に会うまでは / 浜田省吾
7. One more time, One more chance / 山崎まさよし
8. WINDING ROAD / 絢香×コブクロ
9. 何もかもが君だった (つるの剛士version) / 羞-Shu-
10. オリビアを聴きながら / 杏里
11. 永遠 / KAN
12. ペガサス幻想 / MAKE-UP

DVD
「M」PV（2バージョン）
「永遠」PV

アルバム発売後には、2010年12月1日に日本武道館で行われたチャリティーイベントで、元プリンセスプリンセスの岸谷香と「M」を披露。他にも、森山直太朗やw-inds.の橘慶太とのコラボレーションなど、多方面での音楽活動を展開しています。

『つるのうた』は、つるの剛士の新たな一面を垣間見ることができる、音楽ファン必聴の一枚です。

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