つるりん君

『つるりん君』

『つるりん君』（つるりんくん）は、日本のゲームメーカー、コナミが開発・発売したコンピュータゲームです。

この作品は、1989年にMSX2というパーソナルコンピュータ向けに発売されたゲーム集『コナミゲームコレクション番外編』の中に、「一発ゲーム」の一つとして収められていました。このゲーム集には、『はいぱーそーめん』という別のゲームも同時に収録されています。『コナミゲームコレクション』シリーズ全体の中で、『番外編』は唯一MSX2以降の機種にのみ対応していました。また、本シリーズの他のタイトルと同様に、高音質を特徴とするSCC音源に対応しており、別途『スナッチャー』のようなSCC音源を搭載したカートリッジを本体に挿した状態でプレイすると、より豪華なゲーム音楽を楽しむことができました。

ゲーム内容（MSX版）

プレイヤーは、「つるりん君」というキャラクターを操作します。ゲームの目的は、読経に夢中になっているお坊さんに気づかれないように、祭壇に供えられているお饅頭をこっそりと食べてしまうことです。MSX版では、合計12個のお饅頭が配置されており、これらを全て食べきると満腹となり、ステージクリアとなります。

もし、お饅頭を食べている最中にお坊さんがこちらを振り向き、つるりん君の姿を見つけてしまうと、「喝！」と一喝されてしまいミスとなります。このミスを3回繰り返してしまうと、お坊さんから「おろかもの！」と呆れられ、つるりん君が目を回してしまい、ゲームオーバーとなります。

アーケード版

MSX2版の登場から翌年の1990年には、『つるりんくん』のタイトルで、業務用のプライズゲームとしても移植されました。

これは、コナミが当時展開していた、ショッピングセンター（SC）などの商業施設内のちょっとした空きスペースへの設置を想定して開発された、省スペース型の景品払い出し機能付き筐体「コナミミニ・エンターテイメントシステム」シリーズの、記念すべき第一弾として世に送り出されたものです。コナミではこれを「小型SCプライズマシン」と位置付けていました。

アーケード版は、MSX版と比較して、一部のグラフィックに変更が加えられています。特に、デモ画面やゲームプレイ中には、仏像が目を開くといった、より細やかなアニメーション演出が追加されており、視覚的な楽しさが増しています。ゲームシステム面では、食べる対象が「煉団子」となり、これを6個全て食べきるとゲームクリアとなり、景品が入ったカプセルが出てくる仕組みです。また、アーケード版には時間制限が設けられており、設定された時間内に全ての煉団子を食べきれないとタイムオーバーとなり、読経を終えた和尚につるりん君が連行されてしまうというユニークな演出も用意されています。使用されている楽曲はMSX版と同一で、SCC音源で再生されていました。

プライズゲームとしての分類としては、モニター画面がありテレビゲームのような感覚で遊べるものの、一般的なビデオゲームとは異なり、クレーンゲームなどに近い「エレメカ」（エレクトロメカニカルゲーム）として扱われました。

筐体は10円硬貨と100円硬貨の両方に対応しており、2種類の料金設定が可能でした。当時の風俗営業法の規定により、1プレイの料金が30円以下、かつ景品の最高価格が90円以下であれば同法の適用対象外となるため、多くの店舗では「1プレイ30円、4プレイ100円」といった料金設定が採用されていました。アーケード版『つるりんくん』の登場時期は、プライズゲームにおける景品の限度額が引き上げられ、『ニューUFOキャッチャー』（1991年、セガ）などの影響で高額景品を扱うプライズゲームがブームとなる時期と重なります。しかし、「コナミミニ・エンターテイメントシステム」シリーズは、こうした客層とは異なる、より手軽な遊びを提供することを想定しており、大きな影響は受けなかったとされています。

「コナミミニ・エンターテイメントシステム」シリーズはその後も展開され、1990年には第2弾『コケッコ』、第3弾『ウーヤーター』が発売されました。1991年発売の第4弾『つりっ子ペン太』では景品の払い出し機能をなくしメダルゲームとなりましたが、同年に登場した第5弾『スライムくん』では再びプライズ機に戻っています。また、1991年の第6弾『マリオルーレット』は、任天堂の『スーパーマリオワールド』の世界観や音楽を使用した作品でした。シリーズに登場する「ペン太」は、MSX版『けっきょく南極大冒険』（1983年）に登場したキャラクターですが、このシリーズでの登場は原作との直接的な関連性は薄いとされています。

アーケード版の景品払い出しについては、確率によって当たりが決まる、いわゆる「確率機」であり、払い戻しの確率は4段階で設定変更が可能でした。

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