とびだせ!マシーン飛竜

『とびだせ!マシーン飛竜』は、1977年から1978年にかけて東京12チャンネルで放送された、全21話構成のテレビアニメです。東京12チャンネル、東映、タツノコプロの共同制作による作品で、1970年代後半のスーパーカーブームを背景に制作されました。当時、カーレースアニメが4作品も放送されるほどのブームの中、本作は唯一のコメディアニメとして人気を博しました。

物語の中心は、岬コンツェルン所属のレーサー、リッキーこと風間力と、ライバルであるガッポリンコンツェルン所属のオッカナビッチの、コミカルなカーレース対決です。最初は一般的なレースアニメとして展開していましたが、中盤からはレース会場の人物や、ゼニゼニチームとは別の陰謀団に巻き込まれるなど、ストーリーに変化が生まれました。

本作は東映とタツノコプロという、異色の組み合わせによるコラボレーション作品でもあります。広告代理店である東映エージエンシーの戦略によって放送枠が確保され、スポンサーの変更なども経て放送されました。放送終了後には、一時的に再放送番組で放送枠が埋められた後、『スパイダーマン』へと引き継がれていきました。2021年には、初めてDVDが発売され、2023年にはYouTubeでの配信も開始、2024年には東映オンデマンドでの全話配信も開始されるなど、長年愛されてきた作品であることがわかります。

魅力的なキャラクターも本作の特徴です。主人公のリッキーは、無名ながら高い運転技術を持つレーサー。一方のオッカナビッチは、強面ながら間抜けな面も持ち合わせた、コミカルなキャラクターです。リッキーをサポートする岬ナナ、チュウ太、ヒデキ、そして岬会長といった飛竜チームの面々も個性的です。ゼニゼニチームには、冷酷な性格のイカリーヌ、そして彼女の娘ツンツン、そして喋るチャウチャウ犬のナターシャも加わり、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。

メカニックも本作の見どころです。リッキーが駆るマシーン飛竜は、最高時速425km/hを誇る高性能マシン。飛竜ジャンプ、飛竜クラフト、飛竜チェンソーといった特殊機能も備えており、レースを盛り上げます。一方、ゼニゼニチームのマシンは、毎回異なるデザインで登場し、様々な仕掛けが施されています。サポート役として飛竜コプターや飛竜ダンパー、そしてゼニゼニチームのトランスポーターであるゼニゼニマシン2号なども登場します。

スタッフ陣も豪華です。企画には飯島敬氏、小野耕人氏、原作にはタツノコプロ企画室と鳥海尽三氏、音楽には筒井広志氏など、数々のアニメ作品で活躍した方々が名を連ねています。キャラクターデザインは天野嘉孝氏と遠藤克己氏、メカニックデザインは大河原邦男氏と、個性豊かなデザインが魅力的なアニメーションを作り上げました。

主題歌はこおろぎ'73が担当し、オープニングテーマ「とびだせ!マシーン飛竜」、エンディングテーマ「やるぞ われらのゼニゼニチーム」は、今でもファンから愛される名曲です。また、秋田書店『冒険王』にて津原義明氏によるコミカライズも連載されていました。

放送は東京12チャンネルを皮切りに、山形放送、東日本放送など全国各地の放送局で放送されました。放送開始から数十年が経過した現在でも、DVD化、そして動画配信サービスでの配信開始により、改めて多くのファンに楽しまれています。スーパーカーブームを背景に生まれた、コミカルなカーレースアニメ『とびだせ!マシーン飛竜』。その魅力は、今もなお色褪せることはありません。

もう一度検索