なつかしき笛や太鼓

『なつかしき笛や太鼓』は、1967年9月30日に公開された木下惠介監督作品です。木下監督が『香華』以来に監督と脚本の両方を担当しました。

ストーリー

舞台は昭和29年（1954年）の香川県小手島。本土から遠く離れたこの島の中学校に、家田徹という若い教師が赴任してきます。家田は、生徒たちにバレーボールを教えようとしますが、島の子どもたちは勉強にも部活動にも積極的ではありません。彼らの多くは漁業や農業を手伝っており、スポーツをする時間や意欲を持てずにいました。また、生徒の親たちも、バレーボールをすることに理解を示さず、家業の手伝いを優先させるべきだと考えていました。

家田は、生徒たちの心を掴むため、熱心に指導を続けます。最初は反発していた生徒たちも、次第にバレーボールの面白さに気づき始め、練習に打ち込むようになっていきます。家田先生の熱意と生徒たちの努力が実を結び、チームは徐々に力をつけていきます。そして、翌年には丸亀市で行われた塩飽地区中学校バレーボール大会に出場することになります。

大会当日、小手島中学校のバレーボールチームは、島民たちの熱い声援を受けながら、強豪チームを次々と打ち破っていきます。そしてついに、決勝戦で見事優勝を勝ち取るのです。この勝利は、小手島の人々に大きな喜びと希望をもたらしました。

主要キャスト

家田徹：夏木陽介
小西道子：大空真弓
健一：高橋洋一郎
おばあちゃん：浦辺粂子

スタッフ

監督：木下惠介
製作：藤本真澄、金子正且
脚本：木下惠介
撮影：楠田浩之
音楽：木下忠司

作品の魅力

この映画は、離島を舞台に、教師と生徒たちの心の交流、そしてバレーボールを通して成長していく姿を描いた感動的な作品です。困難な状況の中でも、諦めずに努力することの大切さ、そして仲間との絆の尊さを教えてくれます。木下惠介監督ならではの温かい眼差しと、美しい映像が、観る人の心を捉えて離しません。

参考文献

『新編 天才監督木下惠介』 論創社、2013年　ISBN 978-4846012472
* 『天才監督木下惠介』 新潮社、2005年 ISBN 410337408X

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