によど (護衛艦・2代)

護衛艦「によど」（FFM-7）艦歴

海上自衛隊の多用途護衛艦（FFM）である「によど」は、もがみ型護衛艦の7番艦として、日本の防衛の一翼を担っています。その艦名は、清流として知られる四国地方の仁淀川に由来しており、この名前を受け継いだ日本の艦艇としては、かつて海上自衛隊に在籍したちくご型護衛艦「によど」に続き、二代目となります。なお、旧帝国海軍においても、計画された大淀型軽巡洋艦の2番艦に「仁淀」と命名される予定がありましたが、こちらは建造に至りませんでした。本記事では、「によど」（FFM-7）がどのように生まれ、任務に就いたのか、その艦歴に焦点を当てて詳しくご紹介します。艦の具体的な性能や装備に関する詳細については、もがみ型護衛艦全体の記事をご参照ください。

「によど」の建造計画は、中期防衛力整備計画に基づいた令和3年度計画護衛艦として推進されました。建造は三菱重工業が担当し、2022年6月30日に長崎造船所にて起工式が行われ、艦体工事が始まりました。その後、順調に建造は進み、2023年9月26日には命名式と進水式が執り行われ、その姿を初めて水面に現しました。

本艦の装備面における特筆すべき点として、Mk.41垂直発射システム（VLS）の搭載が挙げられます。このVLSは、2021年度の補正予算で予算が確保されましたが、建造計画の途中で世界的な半導体不足の影響を受け、当初は就役後に装備される予定とされていました。しかし、その後の情勢変化や調整を経て、最終的には就役時からVLSを搭載した状態で配備されることが決定しました。これにより、「によど」は、もがみ型護衛艦シリーズの中で初めてVLSを搭載して就役した艦となりました。ただし、このVLSに搭載されるのは、主に07式垂直発射魚雷投射ロケットが予定されており、現時点では艦対空ミサイルを搭載する計画はないとされています。これは、もがみ型が想定する主任務に応じた装備選択と言えます。

進水後の「によど」は、各種の艤装工事や性能を確認するための試験が重ねられました。当初、これらの工程を経て2024年12月に海上自衛隊へ引き渡され、就役する予定が立てられていました。しかし、建造や試験のスケジュールに遅れが生じたため、実際の就役日は変更となりました。最終的に、「によど」は2025年5月21日に無事就役を果たし、日本の海上防衛体制に加わりました。就役後、「によど」は護衛艦隊直轄の部隊である第12護衛隊に編入され、その母港として広島県の呉基地に配備されました。

艦を指揮する艦長については、海上自衛隊において効率的な運用を目指して導入が進められている「クルー制」の影響もあり、本艦の進水時点では、艦の完成・引き渡しを担当する艤装員長といった役職は特に定められませんでした。クルー制では、特定の艦に専属する乗員だけでなく、複数の艦を乗り換えて運用する方式が取られる場合があり、これまでの慣例とは異なる運用体制が敷かれています。

以上が、護衛艦「によど」（FFM-7）の起工から就役、そして初期配備に至るまでの主な歩みです。繰り返しますが、本稿は艦の歴史的側面に焦点を当てており、搭載する兵装や機関といった技術的な仕様詳細については、もがみ型護衛艦の全体像を解説した資料をご参照ください。

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