ぬっぺふほふ

ぬっぺふほふ - 江戸時代の神秘的な妖怪

ぬっぺふほふ、あるいはぬっぺっぽうは、江戸時代の妖怪絵巻に描かれる神秘的な存在です。その外観は、一頭身の肉の塊のような形状で、顔や体の皺の区別がつきません。これらの妖怪は『画図百鬼夜行』や『百怪図巻』などの作品にその名が記されていますが、表現されている内容は簡潔で、詳細な解説が不足しています。

ぬっぺふほふは、洒落本『新吾左出放題盲牛』にも言及されており、ここでは「目もなく耳も無く」と描写されています。これにより、彼はのっぺらぼうの一種であると考えられています。また、乾猷平の資料によると、ぬっべっほうという名の妖怪が紫水文庫に保存された古い絵本に登場し、古いカエルや狐狸の化け物であると説明されています。この妖怪は皺の多い琉球芋のような外見を持ち、短い四肢が特徴的です。

『新吾左出放題盲牛』では、ぬっぺふほふが「死人の脂を吸い、針ほどのものを食う」と述べられ、昔は医者に変装して人間界に現れては、今はそのままで姿を見せることがあるとされています。ある研究者は、のっぺらぼうが現在一般に知られているような顔のない存在になる以前、ぬっぺふほふのように体と顔が一体化した形状であったのではないかと指摘しています。

また、ぬっぺふほふの特徴の一つは「白化」です。これは白粉を塗ったような姿として表され、人間に成りすましながら通行人に近づく様子が描写されています。彼は親しげに話しかけ、相手が油断した瞬間に本来の姿を現すのです。この妖怪は「白い化物」としての性質を持ち、実際に人間を引き付け、その後に恐怖を与えます。

昭和・平成以降の資料では、ぬっぺふほふは廃寺や古い場所に現れる妖怪として言及されていることもあります。これは、民俗学者藤沢衛彦の著書に由来し、「古寺の屋根に一塊の辛苦のように現れる」と説明されています。この解説は背景に基づく創作であり、実際には彼が「寺に現れる」と述べたのは誤解であると考えられています。

加えて、一部の文献ではぬっぺふほふが死肉から化けた存在であり、彼が通った後には腐肉のような不快な臭いが残るとも記されていますが、その一次出典は不明です。

類話と関連エピソード

ぬっぺふほふに似た存在が登場する逸話も存在します。文化時代の随筆『一宵話』には、1609年に駿府城の中庭に現れた肉塊のような者の話が記載されています。その外見は子供のようであり、指がない肉の塊に形容されています。警戒心の強い城内に侵入したこの者は、妖怪と疑われ、捕まえようとしても早く動くため捕獲できませんでした。最終的に、徳川家康の命により山へと追い出されたとのことです。

この話を聞いた薬学の専門家は、それが中国の古書に登場する「封」であるとし、その肉を食べることで多の力を得られるとの認識を示しました。

関連項目

• - 日本の妖怪一覧
• - のっぺらぼう
• - 人面瘡

このようにぬっぺふほふは、江戸時代の文化や妖怪に対する理解を深める重要な存在です。彼の特徴や由来を知ることは、古の日本の不気味さや神秘性を感じる手助けとなることでしょう。

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