ねこ座

ねこ座の概要

ねこ座（Felis）は、現在は使用されていない星座の一つであり、かつてはうみへび座とポンプ座の間に位置していました。しかし、現在の88星座には含まれていません。ねこ座は、その名の通り猫がテーマであることから、愛猫家による支持を集めました。

主な天体

ねこ座の主な天体として、HD 85951があります。この恒星は、現在はうみへび座として知られていますが、2018年6月1日に国際天文学連合（IAU）によってFelisという固有名が付けられました。HD 85951は、ボーデの星図において「ねこ座c星」と名付けられたもので、当時の星図作成者に注目されていました。

由来と歴史

ねこ座は1799年にジェローム・ラランドによって考案され、1801年にはヨハン・ボーデの作品『ウラノグラフィア』に初めて描かれました。ラランドは先に存在する星座に野生の猫が含まれている一方、飼い猫をテーマにした星座がないことに不満を抱いていました。彼が特に愛猫家であったことから、猫に関連する星座の創設が強く望まれました。さらに、ラランドは詩人クロード・アントワーヌ・ギヨ・デゼルビエの詩に触発され、自身の猫を星座に加えることを決定したと言われています。

ねこ座は、ボーデの星図に描かれたことをきっかけに、19世紀を通じて多くの星図制作者に認知されました。その中でも、アレクサンダー・ジェイミソンは1822年に発表された「Celestial Atlas」、通称『ジェミーソン星図』でねこ座を描いたことが記されています。また、アメリカ合衆国のリチャード・ヒンクリー・アレンも1899年に発行した書籍「Star Names: Their Lore and Meaning」において、ねこ座について言及しています。

しかし、1888年にエリザ・A・ボウエンが『Astronomy By Observation』でねこ座を描いたのが最後となり、その後ねこ座は一般的な星図から姿を消しました。1922年にIAUが現在知られている88の星座を定めた際、ねこ座は選ばれませんでした。そのため、近代に作られた星座であり、古い伝承や神話は存在しません。

現代におけるねこ座

近現代においても、ねこ座はさまざまな形で登場しています。自然科学研究機構核融合科学研究所が2017年から採用しているイメージキャラクター「ヘリカちゃん」は、設定上「ねこ座から来た」とされています。また、1997年に円谷プロダクションが製作したアニメ映画『ウルトラニャン』では、主人公の「ニャン」がねこ座のフェリス星から来ているというストーリーが展開されています。

これにより、ねこ座は天文学の歴史の中で独特の位置を占めており、特に猫に興味を持つ人々にとっては情熱をかき立てるテーマとなっています。

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