はけうえ遺跡

はけうえ遺跡の概要

はけうえ遺跡（はけうえいせき）は、東京都小金井市貫井南町に位置する、後期旧石器時代から縄文時代にかけての複合遺跡です。この遺跡は、武蔵野台地の南端にある国分寺崖線に接し、周囲には自然豊かな景観が広がっています。これまでに行われた4回の発掘調査において、重要な文化層が検出されており、特に後期旧石器時代と縄文時代の集落跡が高く評価されています。

立地と環境

遺跡の地形はノッチ状で、特殊な地形として注目されており、そこには湧水が形成されています。このノッチ部分は現在「滄浪泉園」として整備され、豊かな緑に囲まれた環境が保たれています。遺跡の主要部分は、国分寺崖線の斜面から標高60メートル付近から72メートルの範囲に広がっており、遺跡の西側に重点的に調査が行われていますが、東側についてはまだ不明点が多く残されています。

発掘調査の歴史

はけうえ遺跡では、1977年から1979年にかけて都道府中・清瀬線（新小金井街道）建設に伴い、発掘調査が行われました。この調査を皮切りに、1978～1979年には滄浪泉園管理棟の整備を目的とした第2次調査、1984～1985年には宅地開発に伴う第3次調査、さらに、個人住宅建設に伴う第4次調査と次々に実施され、様々な遺構や遺物が発見されました。

主な遺構と出土品

調査からは様々な遺構が確認されており、特に石器集中部や炭化物集中部、竪穴建物跡、土坑などが見つかりました。また、出土品も豊富で、ナイフ形石器や石槍、縄文土器まで多岐にわたります。出土した縄文土器には、撚糸文土器や押型文土器、沈線文土器など様々なタイプが存在し、遺跡の時代背景を考察する上で重要な資料となっています。

遺跡の変遷

後期旧石器時代

発掘調査の中で11層の文化層が確認され、各層からも多様な石器が出土しています。特に、石器の年代や製作技術を分析した結果、地域の文化的なつながりや交易の可能性が示唆されました。

縄文時代

縄文時代の初期には、有舌尖頭器が発見されており、また、早期には17棟の建物跡が検出されています。これらの建物は国分寺崖線の斜面に建設されており、出土した土器からその時期における生活様式が浮かび上がります。後期には柄鏡形建物跡が確認され、生活様式の変遷を示す貴重な証拠となっています。

文化的意義と今後の研究

はけうえ遺跡は、東京都内における旧石器時代及び縄文時代の重要な拠点であり、この地域の歴史や文化を理解するための鍵を握っています。今後の調査により、さらなる遺物や遺構が発見されることが期待され、これが地域史や考古学の発展に寄与することでしょう。

出土した品々の一部は小金井市文化財センターに展示されており、一般の人々にもその歴史的価値を伝える役割を果たしています。

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