石槍

石槍（いしやり）は、打製石器の一種であり、石を材料として作られた槍の穂先部分を指します。槍先として使用されたと推定される打製石器も、石槍に分類されます。

概要

石槍は、蔓などの植物性の紐を用いて木の棒にしっかりと結びつけ、槍として使用されました。主な用途としては、落とし穴に落ちた動物を突き刺し、仕留めることが考えられています。旧石器時代の人々にとって、石槍は重要な狩猟道具であったと考えられます。

日本列島においては、後期旧石器時代に石槍が広く用いられました。神奈川県相模原市にある下九沢（しもくざわ）遺跡から出土した石槍は、立川ローム層の第2黒色帯から発見され、日本最古の石槍とされています。この発見は、石槍が日本列島において、非常に早い時期から使用されていたことを示唆しています。下九沢遺跡では、第1黒色帯以降のⅡ期後半に石槍が発達したことも確認されています。

地域によって石槍の形状に違いが見られます。九州地方では、断面が三角形の石槍や、中型の石刃の一端を尖らせ、もう一方を基部として加工した剥片尖頭器が出土しています。これらの石槍は、九州地方独特の形状をしており、当時の人々の技術や文化を反映していると考えられています。同様の石槍は長野県でも発見されており、さらに朝鮮半島からも類似品が出土しています。これらの発見は、当時の人々の交流や技術伝播があった可能性を示唆しています。

続く細石刃文化の時代にも石槍は存在しましたが、その数は多くありません。細石刃文化は、より小型で精密な石器を用いる文化であり、石槍の役割が他の道具に取って代わられた可能性があります。

石槍は、旧石器時代の人々の生活や技術を知る上で重要な資料です。その形状や出土状況から、当時の狩猟方法や文化、地域間の交流などを推測することができます。

脚注

注釈はありません。

出典

参考文献は特にありません。

関連項目

尖頭器
槍
* 打製石器

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