はっぴいえんど (アルバム)

はっぴいえんど - はっぴいえんど

はっぴいえんどのデビューアルバムは、1970年8月5日にリリースされ、日本語ロックの先駆けとして重要な作品とされています。

制作の背景

URCレコードのディレクター、小倉栄司との出会いがきっかけとなり、はっぴいえんどはURCレコードと契約。本作の制作に至りました。アルバムのジャケットに描かれた看板から、「ゆでめん」という愛称で親しまれています。

次作『風街ろまん』には、「12月の雨の日」の別バージョンや「はいからはくち」とのダブルジャケット盤がキングレコードから発売されました。

大瀧詠一はレコーディング当時を振り返り、「全員が“やったなぁ”という達成感に包まれた」「ロックのベース、ドラム、ギター、歌い方という概念からスタートした」と語っています。また、「日本の音楽界に足跡を残せた」という確信や、当時の恋人から「日本のビートルズ」と評されたエピソードも明かしています。サウンドのルーツはバッファロー・スプリングフィールドやモビー・グレープといったアメリカンロックにあり、アコースティックギターとエレクトリックギターを前面に押し出したスタイルが特徴です。

アートワーク

ジャケットは、漫画家・林静一のイラストを表に、メンバーの写真を裏にあしらい、矢吹申彦がアートディレクションを担当しました。原画はモノクロで、全体の黄色や「はっぴいえんど」の札の白抜きは矢吹によるものです。野上眞宏が撮影したメンバーの写真は、レコーディング風景やライブの模様、メンバーの日常を捉えたもので、アルバムに温かみとリアリティを加えています。歌詞カードはマネージャーの石浦信三が手がけ、尊敬する人物として音楽家だけでなく、三遊亭円生や広沢虎造といった人物の名も挙げられています。

影響と評価

本作は1971年に『ニューミュージック・マガジン』誌で日本のロック賞を受賞。しかし、内田裕也がURCレコードのアーティストが優遇されていると主張したことから、日本語ロック論争へと発展しました。

田家秀樹は、アルバムに漂う湿り気や重さ、悔恨のような憂鬱さを「1970年代の気分」と表現しています。

収録曲

SIDE 1

1. 春よ来い
2. かくれんぼ
3. しんしんしん
4. 飛べない空
5. 敵タナトスを想起せよ!

SIDE 2

1. あやか市の動物園
2. 12月の雨の日
3. いらいら
4. 朝
5. はっぴいえんど
6. 続はっぴーいいえーんど

カバー

「12月の雨の日」は、ゲームソフト『ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇』で使用されたほか、トリビュートアルバム『HAPPY END PARADE〜tribute to はっぴいえんど〜』では、スピッツ、くるり、空気公団など、様々なアーティストによってカバーされています。

「春よ来い」や「かくれんぼ」も、カーネーションによってカバーされています。


はっぴいえんどのデビューアルバムは、その音楽性、アートワーク、そして日本語ロックの先駆けとしての意義において、日本の音楽史に残る重要な作品です。彼らの革新的な試みは、後の音楽シーンに多大な影響を与え、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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