はやなみ型巡視艇

はやなみ型巡視艇の概要

はやなみ型巡視艇は、海上保安庁が運用する巡視艇で、その公称船型は35メートル型に分類されています。この艦船は、昭和48年度から建造された特23メートル型巡視艇を基に、これまでの運用経験を活かして設計されたものです。特に東京湾や伊勢湾、さらには瀬戸内海など船舶交通が特に多い海域において、安全を確保するためのルールが適用され、航路哨戒船としての役割が期待されてきました。

来歴

1973年に施行された海上交通安全法により、東京湾周辺では特殊な航路が定められ、海上保安庁はこの海域の安全を強化するため、航路哨戒用の訪問船を配備しました。その結果、まず最初に昭和48年度から57年度にかけてあきづき型巡視艇が12隻建造され、さらに1988年のなだしお事件を受けて、追加の巡視艇の必要が増しました。

平成元年度には、なつぎり型が2隻追加され、平成4年度にはその運用実績を基にした新たな巡視艇の設計が進められ、はやなみ型へとつながります。

設計

はやなみ型の船型はV型を採用し、船体には耐航性の高い鋼鉄と、甲板や上部構造物には軽量なアルミニウム合金が使用されています。これにより、高速走行とともに、長時間の低負荷運転が可能となっています。

また、居住性や業務区画の設置を考慮し、用船による定員が増加した結果、これまでの巡視艇を凌駕するサイズとなりました。特に、視界を確保する設計が施されており、機器の小型化と操舵室の配置にも工夫がなされています。

主機関としては、V型12気筒のMTU 12V396 TB94ディーゼルエンジンが搭載され、出力は2,000馬力に達します。この主機は、特130トン型巡視船に匹敵するパフォーマンスを提供し、航行中の事故が多い海域での安全性向上に寄与しています。さらには、曳航機能も備えられ、航行不能になった船の救助を想定した設計となっています。

災害対応機能強化型

平成7年度には阪神・淡路大震災の教訓を生かして、災害対応機能の強化が図られた6隻が予算化されました。これらの艇は、「災害対応機能強化型」と呼ばれ、以下の装備が追加されています。

• - 捜索能力の強化: 赤外線センサーや水中探査装置が搭載され、より効率的な捜索が可能になっています。
• - 物資輸送力の強化: 耐荷重0.7トンのクレーンが追加され、災害時の物資輸送に対応します。
• - 消防能力の強化: 船首部分には強力な放水銃が装備され、緊急時には迅速な消火活動ができます。

これらの強化は、海上保安庁の重要な責務を果たすために欠かせない機能となっています。

同型艇の運用と登場作品

はやなみ型巡視艇は、さまざまな媒体に登場することがあります。映画『BRAVE HEARTS 海猿』では、着水したボーイング747を救助する場面で活躍し、また『シン・ゴジラ』では漂流するプレジャーボートの調査を行う等、メディアで広く認知されています。

このように、はやなみ型巡視艇は海上保安庁にとっての重要な資産であり、常に海での安全確保や災害対応に寄与し続けています。

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