はらいそ

アルバム『はらいそ』について

1978年に発売された『はらいそ』（PARAISO）は、細野晴臣の4作目のソロアルバムです。この作品は、ポルトガル語で「天国」を意味する「パライソ」に由来し、宗教的な背景を持つキリシタン用語から発展した言葉でもあります。アーティストとしての創作の幅が広がる中で生まれたこのアルバムは、細野の音楽的探求の一つの到達点を示しています。

トロピカル三部作の締めくくり

『はらいそ』は、細野晴臣のトロピカル三部作の最終作であり、『トロピカル・ダンディー』や『泰安洋行』に続く作品として位置付けられています。これまでの二作はクラウンレコードから発売されていましたが、今回は村井邦彦の提案によりアルファレコードからリリースされました。トロピカル三部作は、細野の独自のスタイルを確立する重要な作品群であり、異なる音楽的要素が見事に融合しています。

音楽スタイルと曲の多様性

本アルバムは、細野が「チャンキー・ミュージック」と名付けた多様な音楽ジャンルのミックスを貫いています。ジャンルは沖縄の伝統音楽から、ハワイの流行歌まで幅広く、聴く者を飽きさせない豊かなサウンドが特徴です。特に収録曲の中には、沖縄民謡「安里屋ユンタ」や、ハワイの楽曲「ジャパニーズ・ルンバ」など、地域固有の文化を取り入れた楽曲が含まれています。

また、アルバムのアウトロには「この次はモアベターよ」というフレーズがあり、細野が将来の音楽活動に対する期待を表現しています。これは、彼の音楽観や次のステップへの意欲を感じさせる一言です。

収録曲リスト

『はらいそ』には以下のような楽曲が収められています。

• - 東京ラッシュ / 作詞・作曲：細野晴臣
• - 四面道歌 / 作詞・作曲：細野晴臣
• - ジャパニーズ・ルンバ / 作詞・作曲：ジェリー・F・ミラー
• - 安里屋ユンタ / 作詞・作曲：沖縄民謡
• - フジヤマ・ママ / 作詞：Earl Burrows、訳詞：井田誠一、補作詞：細野晴臣
• - ファム・ファタール〜妖婦 / 作詞・作曲：細野晴臣
• - シャンバラ通信 / 作曲：細野晴臣
• - ウォリー・ビーズ / 作詞・作曲：細野晴臣
• - はらいそ / 作詞・作曲：細野晴臣

いずれの曲も、細野晴臣自身のクリエイティブな表現が感じられる作品ばかりです。特に「はらいそ」は、後に映画『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』の挿入歌としても使われています。

演奏者たち

アルバムには様々な才能あるミュージシャンが参加しています。細野晴臣自身がボーカルや楽器を演奏し、参加アーティストには鈴木茂、徳武弘文、林立夫、高橋幸宏、浜口茂外也など、名だたるミュージシャンが名を連ねています。また、坂本龍一や大貫妙子なども関わっており、彼らの演奏もアルバムに独特の色彩を加えています。これにより、『はらいそ』は細野の音楽的才能だけでなく、共同での創造性をも感じさせる作品となっています。

『はらいそ』は、細野晴臣の音楽キャリアにおける重要な一歩であり、多種多様な音楽スタイルの融合や、他アーティストとの共同作業が生み出すハーモニーに触れることができる一枚です。

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