びっくり五十三次

びっくり五十三次

『びっくり五十三次』は1954年8月11日に公開された日本のコメディ映画です。この作品は松竹京都が製作したもので、モノクロのスタンダード形式で95分の上映時間を誇ります。映画は、旅を通じて出会う人々との関わりや、様々な出来事を通じた成長を描いたストーリーです。

あらすじ

物語の主人公は、お釈迦の金太郎という名の旅人で、彼は十年ぶりに故郷へ帰る途中にさまざまな出来事に遭遇します。金太郎は旅の途中で、駕籠屋に困っている娘やおばあさんを助けることになります。しかし、このおばあさんは盗みの常習者で、「妲己のお百」として知られる掏摸の名人という裏の顔を持っています。金太郎はその事実に驚きつつも、道連れに娘のお夏とおばあさんを引き連れて旅を続けます。

旅の途中、お夏は歌を披露し、金太郎はそれに合わせて投げ銭を集めますが、彼は故郷に帰るまでの間、喧嘩や博奕を封印しているため、内心は葛藤しています。金太郎は旅の仲間、森の石松と再会し、彼との再会をきっかけに、様々な騒動が引き起こされていきます。

金太郎はお夏の母の営む宿「ひょうたんや」へ逗留します。この宿は心中事件の舞台としても有名で、繁盛しています。宿での生活が長引く中で、金太郎はお夏の姉であるお万とも親しくなりますが、長雨が続き、宿に留まることに焦りを感じる二人。実はお万には別の男からの求婚があり、金太郎は彼女のためにその男との関係を断たせる計画を立てます。

その後、川が戻り、金太郎は故郷に向けて出発しますが、彼の旅は新たな出会い、困難をもたらします。以前に金太郎と衝突した用心棒・荒木又兵衛が現れ、彼の存在は物語にさらなる緊張感を与えます。金太郎は、石松が悪党に騙されて殺されたことを知り、復讐の念に駆られます。果たして金太郎は浜千鳥の文吉に対して正義を果たすことができるのか、物語は急展開を迎えます。

最終的に、金太郎は母親の死と妹の行方不明を知り、心を痛めます。彼は再び「ひょうたんや」に戻り、お夏やお万とともに、新たな旅立ちを決意します。金太郎の妹探しの旅が待っていますが果たして彼は妹を見つけられるのでしょうか。映画は、出会いや別れ、成長が織りなすヒューマンコメディとして、多くの観客を楽しませました。

スタッフとキャスト

スタッフには、高木貢一（製作）、野村芳太郎（監督）、椎名利夫、津路嘉郎、永江勇（脚本）、そして音楽は木下忠司が担当しました。特に主題歌「五十三次待ったなし」は西條八十による作詞、上原げんとの作曲で、大変人気を博しました。

キャストには、お釈迦の金太郎役の高田浩吉、ちゃっかりお夏役の美空ひばり、そしてお万役の勝浦千浪が登場し、彼らの演技が物語に色を添えています。その他にも多くの個性的な俳優が出演し、作品に深みを与えています。

『びっくり五十三次』は、当時の日本映画としてはユニークなコメディ要素が詰まった作品であり、今なお多くの人々に愛される作品として評価されています。

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