ふしぎ遊戯 玄武開伝

ふしぎ遊戯 玄武開伝

『ふしぎ遊戯 玄武開伝』は、渡瀬悠宇による日本の少女[[漫画]]作品です。『少女コミック増刊』での連載開始後、掲載誌をいくつか変更し、最終的には『増刊フラワーズ』で完結しました。コミックスは全12巻で、略称は『玄武』または『玄武編』です。2015年11月時点で、シリーズ累計発行部数は2000万部を突破しています。

概要

本作は、1992年から『少女コミック』（小学館）で連載された『ふしぎ遊戯』（以下「前作」）や『ふしぎ遊戯 白虎仙記』（以下「次作」）と世界観を共有する作品です。登場人物は一新され、前作で存在が仄めかされていた玄武の巫女と玄武七星士を中心とした物語が展開されます。

次作と同様に前作の続編と位置付けられていますが、舞台は前後の二作よりも過去の世界であり、物語の始まりを描いています。そのため、物語の大まかな結末は前作で既に示唆されており、前後二作の読者に向けて、後世に繋がる細かな伏線が多数用意されています。作者は、本作を独立した別の物語として捉えており、『ふしぎ遊戯』のタイトルを外すか、サブタイトルとして小さく表示すれば良かったと述べています。また、前作で語られた玄武の巫女の悲惨な最期を踏まえ、前作に比べてギャグ要素が減り、シリアスな展開が多くなっています。舞台を盛岡市に設定したのは、アニメ版『ふしぎ遊戯』のオリジナル設定を取り入れたものです。

あらすじ

物語は大正12年、17歳の女学生・奥田多喜子が、母の療養のため東京から母の実家がある岩手県盛岡市へ引っ越してくる場面から始まります。多喜子は、小説家である父・永之介を嫌っていました。永之介が中国での取材を終え、経典『四神天地之書』の資料を持って帰宅します。程なくして母が亡くなり、悲しみに暮れる多喜子は、幼馴染の大杉高雄に想いを打ち明けますが、受け入れられませんでした。父との口論の末、多喜子は父から取り上げた『四神天地之書』を破り捨てようとしますが、突如光に包まれ、本の中に吸い込まれてしまいます。

本の中で多喜子が降り立ったのは、異世界・四正国の一つである北甲国の雪山でした。魔物に襲われた多喜子は、磔にされていた少女・女宿と協力して街へ向かい、玄武の巫女の伝説を知ります。女宿が追われる身であることを知った多喜子は、彼を追う少年・虚宿と行動を共にすることになります。異常気象による冷害や皇族による暴政など、北甲国が抱える問題を知った多喜子は、自分を巫女として大切にしてくれる人々に応えるため、玄武を召喚することを決意し、玄武七星士を探す旅に出ます。しかし、軍事大国・倶東国の脅威や数々の困難が、多喜子たちの行く手を阻みます。そして、女宿を巡る皇族の確執に、多喜子は巻き込まれていくのでした。

登場人物

奥田 多喜子（おくだ たきこ）
玄武の巫女で、物語の主人公。普段は袴に編み上げブーツ姿の女学生。薙刀が得意で、タコと雷、そして父・永之介を嫌っています。活発で気が強く、甘え下手な性格です。結核に感染しながらも、巫女としての使命を果たそうと奔走します。女宿と恋に落ちます。
女宿（うるき） / 李武土 琅煇（リムド＝ロウン）
風を操る能力を持つ七星士。風や気功波を使う際に女体化します。北甲国の皇子でありながら、父に命を狙われ、逃亡生活を送っています。風斬鬼（リムド）として知られています。多喜子と最初に出会い、惹かれ合います。
虚宿（とみて） / チャムカ＝ターン
氷を操る弓の名手である七星士。感情豊かで明るい少年。過去の記憶を失っており、幼馴染の斗宿との間に確執があります。多喜子に密かに好意を抱いています。
室宿（はつい） / ザラ－＝エルタイ
鉄カゴから針を発射して攻撃する少年七星士。薬草に詳しい。臆病な性格で、籠に閉じこもることが多いです。
壁宿（なまめ）
大地の精霊で、岩を操る七星士。普段は人形のような姿をしています。アンルウを慕っています。
斗宿（ひきつ） / エムタト＝チェン
水を操る七星士。眼帯で隠した右目で、人の記憶を読むことができます。最愛の妹を救うため、廃墟となった村に一人残っています。
牛宿（いなみ） / タルマ
髪を操り、煙管を武器に戦う七星士。元は遊郭の用心棒で、現在は女将の代理を務めています。多喜子の命懸けの救助を受け、旅に出ることを決意します。
危宿（うるみや） / ハーガス
他の七星士の能力を吸収し、操ることができる七星士。双子の弟・テグを救うため、テムダン王に従っています。
危宿（うるみや） / テグ
歌で衝撃波を繰り出す七星士。ハーガスの双子の兄。テギル皇帝に囚われ、地下迷宮に幽閉されています。
北甲国（ほっかんこく）
玄武を守護神とする国。資源が豊富だが、皇族の覇権争いや異常気象により、滅亡の危機に瀕しています。

書誌情報

単行本
小学館〈フラワーコミックス〉、全12巻
文庫版
小学館〈小学館文庫〉、全7巻
小説
渡瀬悠宇（原作・イラスト） / 高殿円（著） 『ふしぎ遊戯 玄武開伝 絆〜遥かなる風の子ら〜』 小学館

関連情報

* ドラマCD、ゲームなど、様々なメディア展開が行われています。

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