ふたみ型海洋観測艦

ふたみ型海洋観測艦

ふたみ型海洋観測艦は、海上自衛隊に所属する海洋観測艦の一種で、2隻の艦船が建造されました。この艦級は、建造間隔に約7年の差があるため、主機関を含む多くの設計改訂が行われています。

背景と歴史

冷戦時代に入ると、海上作戦の効果を最大限に引き出すためには、海洋環境に関する情報が鍵となりました。海底の地形や底質、潮流、海流、さらには水質関連データ（温度や塩分など）や海上の気象情報の収集が求められるようになったのです。この状況を受け、昭和42年度の計画で「あかし」が建造され、1969年にはその運用部隊として海洋業務隊が新設され、海洋環境情報活動が開始されました。

しかし、あかし1隻では必要なデータを十分には収集できなかったため、1974年からかさど型掃海艇の改造と専用の海洋観測艦の建造が決定されました。その結果、1976年、昭和51年度の計画に基づいて最初の艦「ふたみ」が完成し、続いて1983年には「わかさ」が加わりました。

設計特徴

ふたみ型の艦船は二層の全通甲板を特徴としており、船体は商船と同似の構造を持っています。観測舷は右舷に設定されており、波浪の影響を考慮した設計がされています。艦尾甲板は観測作業用として利用されており、音響観測能力が向上しているほか、観測機器やケーブルの揚降用途に特化した設計がなされています。

艦の主機関は、1番艦「ふたみ」には川崎重工業製のV型8気筒ディーゼルエンジンが、2番艦「わかさ」には富士ディーゼル製の直列8気筒エンジンが搭載されています。音響観測に適した環境を保持するための様々な防音対策も施されています。加えて、艦船にはガスタービン発電機とディーゼル発電機が装備され、1,800キロワットを超える出力を誇ります。

装備と機能

艦内には、精密艦位測定装置や音響測定装置、海底音波探査装置、各種記録計、解析機器が整えられています。また、観測作業甲板には観測用のクレーンや巻揚機、電磁海流計といった装置が搭載されています。

搭載艇としては、11メートルの作業艇と7.9メートルの内火艇が1隻ずつあり、さらに水中作業用にアメリカ製のRCV-225も利用可能です。これらの情報収集活動は、海洋環境の変化を理解し、適切な対策を講じるために非常に重要な役割を果たしています。

同型艦

同型艦としては、「ふたみ」と「わかさ」の2隻が存在し、いずれも海上自衛隊の海洋観測任務に資するために運用されています。両艦の存在は、海洋に関するデータの集積と分析を支え、海上自衛隊の戦略的運用に寄与しています。

もう一度検索