ぶたさん

1987年12月にジャレコからアーケード向けにリリースされた『ぶたさん』は、日本マイコン開発が開発を手掛けた、ユニークなコンセプトのアクションゲームです。この作品の最大の特徴は、プレイヤーが操作する豚を含め、画面内に登場する豚たちが爆弾を投げ合い、生き残りをかけて戦うバトルロイヤル形式にあります。

ゲームの舞台は画面をスクロールしない固定画面。プレイヤーは水玉パンツをはいた愛らしい二足歩行の豚を操作し、フィールド上に配置された時限爆弾などを拾い集めます。これらの爆弾を他の豚たちめがけて投げつけ、爆風に巻き込んで画面外へ吹き飛ばすことが目的です。画面内の敵を全て倒せばラウンドクリアとなり、次のステージへと進めます。最終的な目標は、全12ラウンドを勝ち抜き、総勢100匹の豚たちの頂点に立つことです。登場する敵の豚たちは色によって異なる個性的な性格を持っており、後半のラウンドに進むほど手ごわくなっていきます。

ゲーム中には、眼鏡をかけた審判の豚も登場し、画面上の爆弾が少なくなると新しい爆弾を補充してくれます。この審判は爆風に対して無敵ですが、プレイヤーや敵の攻撃で一時的に足止めしたり、爆弾を当てて誘爆させたりすることも可能で、戦術的に利用できる場面もあります。

爆風を受けた豚は目を剥いた表情で画面外へ吹き飛ばされ、そのラウンドから脱落となります。プレイヤー自身が爆風を受けるか、制限時間が経過すると1ミスとなり、残り人数が減ります。残り人数がゼロになるとゲームオーバーとなりますが、何度でもそのラウンドからコンティニューが可能です。ゲームオーバー時には、プレイヤーの豚が画面いっぱいにアップになるコミカルな演出が挟まれます。

敵の豚たちは同士討ちをしたり、自分で投げた爆弾で自爆したりすることもあり、これらの場合もプレイヤーの得点となります。特にゲーム序盤では、プレイヤーがほとんど動かなくても敵が自滅してラウンドがクリアになることも珍しくありません。

3ラウンドをクリアするごとに、ボーナスステージ「ぶたたたきげーむ」に挑戦できます。これはモグラたたきのように、穴から出てくる敵豚をタイミングよく殴って得点を稼ぐミニゲームです。

操作は8方向レバーと、「投げる/殴る」「伏せる」の2つのボタンで行います。爆弾を持っている時はボタン長押しで飛距離を調整して投げ、持っていない時は相手を殴って動きを止めたり、爆弾を落とさせたりできます。「伏せる」ボタンで飛んでくる爆弾を回避できますが、近距離の爆風は防げません。

フィールド上の爆弾には数字が書かれており、一度拾って投げるとカウントダウンが始まり、時間経過や他の爆発への巻き込み、直撃などで爆発・消滅します。画面端に当たるとバウンドする性質があります。爆弾を持った状態で伏せると足元に置くことができますが、特定の場所（画面下端などで下向きに伏せる）に置いてしまうと回収不能になり、詰んでしまう可能性もあります。

様々な効果を持つアイテムもゲームを有利に進める上で重要です。赤く点滅する爆弾を爆発させると出現し、爆弾の飛距離や移動速度を上げるパワーアップアイテム、敵全員を眠らせる「すりぃぴんがす」、複数の爆弾を持てるようになる「よじげんりゅっく」、誘爆範囲の広い「はいぱーばくだん」、一度だけ爆風を防ぐ「ごじさんすーつ」、そして残り人数が増える「わんなっぷぶたさん」などがあります。「ぶたぱーる」というアイテムを特定の数集めると、これらのアイテムの効果を強化することも可能です。最高段階のアイテム「ちゃちゃちゃんにんぎょう」を取得すると、一気に最強装備となります。

2人同時プレイや途中参加にも対応しており、協力してラウンドクリアを目指すのはもちろん、お互いの邪魔をしながら遊ぶといった楽しみ方もできます。2人で全ラウンドをクリアした際には、プレイヤー同士で最後の戦いを繰り広げる「ざ・ですまっち」が発生し、真の勝者を決定します。

爆弾を用いた過激とも言える設定ながら、コミカルなキャラクターデザイン、愛らしい豚たちの仕草、そして軽快なカントリー風のBGMが相まって、ゲーム全体を通して明るく親しみやすい雰囲気が作られています。

本作は、iアプリやX68000など複数のプラットフォームに移植されたほか、海外では「Psycho Pigs U.X.B.」というタイトルで発売されました。また、2015年にはPlayStation 4|PlayStation_4、2019年にはNintendo Switchで、それぞれアーケードアーカイブス版が配信されており、手軽にオリジナルの雰囲気を楽しめるようになっています。

2015年には、ニンテンドー3DSダウンロード専用ソフトとして、フルリメイク版『たたかえぶたさん』が発売されました。新マップや新アイテムが追加され、最大4人までのオンライン対戦に対応するなど、現代向けにアレンジされています。このリメイク版は、オリジナルのイメージを保ちつつ新たな要素を取り入れる難しさについて、開発者が言及するインタビューも残されています。リメイク版の評価としては、ファミ通クロスレビューで27点を獲得し、オリジナルの面白さやルール説明の分かりやすさが評価される一方、一人プレイモードのボリューム不足などが指摘されました。

関連作品には、『ゲーム天国』や『落っことしパズルとんじゃん!?』といったジャレコ作品のほか、テレビ番組『クイズ!年の差なんて』で本作のBGMが使用された例もあります。

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